*注意

これは、『アイドルマスターシンデレラガールズ』16話を観たら湧き上がってきたなんかです



もしも16話を菜々の担当プロデューサー(以下菜々P)のサイドから見たら……と言うモノです



なので、アニメのネタバレ注意です。むしろネタバレしかありません



オリキャラ=菜々Pが出ます。無駄に濃いです



当方、アニメから入ったクチなので、菜々の魅力を活かしきれていないかもしれません



全国のリアル菜々Pの皆さま、ご容赦をば



SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1438949664



『筋肉でドン!マッスルキャッスル』しゅーろくごー

菜々のプロデューサー(以下菜々P)「ウサミン、お疲れ〜!」



菜々「はい〜、お疲れ様です!」



菜々P「ウサミン、今日良かったよ。ウサミンコールからの大勝利!」



菜々「アハハハ……。アレ、ありがとうございます」



菜々P「どれが?」



菜々「あのコール、プロデューサーさんからの指示ですよね?」



菜々P「ソ、ソンナコトハアリマセンヨ?」



菜々「フフ……。ナナはウサミン星人ですから、耳良いんですよ?(ピョコピョコ)」



菜々P「いやいやいや、あれはちゃんとウサミンのファンの人にやってもらったし!……あ」



菜々「あ、やっぱりそうだったんですね」



菜々P「で、でも、あそこからスタジオの空気をこうググっと持ってったのはウサミンパワーだって!」



菜々「ホントですか!(パァァ)」



菜々P「マジマジ。俺がウソ吐くとか頭良いことできるわけないじゃん?」



菜々「ですよね、ですよね。エヘヘヘ〜」



菜々P「お。ウサミン、何か良いコトあった?」



菜々「実はですね〜、ナナ目標にされちゃったんですよ!」



菜々P「おお、目標?ダレから?」



菜々「何を隠そう、シンデレラプロジェクトの前川みくちゃんから!」



菜々P「おお、ストラ……じゃなくてアスタリスクの!」



菜々「そうなんですよ〜。もうホント嬉しくって!」



菜々P「ほっほ〜。ウサミンにも先輩アイドルとしての貫禄が出てきたってトコロですか!」



菜々「いや〜、カフェのアルバイトしたり、小さなお仕事をしたり、コツコツ下積みを重ねた甲斐があったってものですかね〜」



菜々P「いや、アイドルに社内カフェのバイトまでさせたのはマジすいませんでした」



菜々「あ、頭を上げてくださいプロデューサーさん。そう言う意味じゃ無くて、こう、溜めて溜めてドーン!みたいのが来てるみたいな」



菜々P「そうだな。デビューCDも出して、テレビのレギュラーもこうしてゲットして!!いや〜来てる、来てるよウサミンウェーブ!ウサミンビッグウェーブ!」



菜々「だからホント嬉しいんですよ。これは後で、2人で飲みに行くしか……ハ!?ナナはじゅうななさい!オ酒飲メマセン!」



菜々P「でました17歳芸!」



菜々「芸じゃ無いですよう!」



菜々P「まぁマジメな話、飲みに行きたいのは山々だけど、俺は今日この後打ち合わせがあるからウサミンは先あがっててよ」



菜々「そうですね〜。お互い明日も仕事ですし」



菜々P「でわでわ」



2人「「お疲れさまでしたウッサミーン!(ハイ、ターッチ)」」



菜々「(グギ)あいで」



菜々P「ちょ、大丈夫ッ!?」



菜々「すいません、収録中に手をやっちゃったみたいで……」



菜々P「ヤバいじゃんソレ!?(アタフタアタフタ)」

打ち合わせ

美城常務「コーナーの一部を打ち切り、出演者ごと入れ替えます」



武内P「待って下さい!それではあまりにも……」



美城常務「言ったはずだ。私は私のやりかたをすると」



菜々P「あの〜(オソルオソル)」



美城常務「(チラ)なにか?」



菜々P「そうなりますと、具体的にどうなるんでしょうか。たとえば、ウチのウサ……安部菜々が担当しているお天気コーナーとかは……」



美城常務「そのコーナーは今回限りで廃止するつもりだ」



菜々P「じゃあ、安部は……」



美城常務「事実上、コーナーを降板してもらう形になる」



菜々P「いやいやいや、でも私としては、番組の最後にこういう明るいコーナーがあっても良いんじゃないかなーって……」



美城常務「天気の話をしたいのなら、アイドルよりも局から専門のレポーターを呼んできた方が良いと思わないか?」



菜々P「ぐ……」



美城常務「それに、私がプロデュースするアイドルにはそうした方向性は求めていない」



武内P「あの……」



菜々P「そうです、よね……」



美城常務「他に何か?」



菜々P「アリマセン、ハイ」



美城常務「……時間を無駄にしたな。それでは、次回以降の具体的な変更プランについて話を進めよう……」



武内P「……」



菜々P(ウサミンビッグウェーブ、来てると思ったのに……)



翌日

菜々P「ウサ……じゃなくて安部菜々のプロデュース方針の見直し、ですか」



菜々P(悪いことは重なる物だ……)



上司「ああ」



菜々P「どういうこと、でしょうか」



上司「……美城常務の方針は、君も聞いているだろう」



(常務『かつての芸能界で見られたようなスター性、別世界のような物語性を確立していこうと考えています』)



菜々P「ウサミン星は、星(スター)じゃないってことですか」



上司「ウチではバラエティの仕事が無くなっていく、と言うことだ」



菜々P「……冗談ッスよ」



上司「だろうな」



菜々P「要は俺のプロデュース方針では駄目だ、と?」



上司「少なくとも、今の会社の方針には適わないな」



菜々P「で、でも、俺大事だと思うんですよ。ウサミンの明るい感じって!すごい頑張ってて!笑われることもあるけど一生懸命で!『このコは世界中のみんっなを笑顔に出来る子なんだろうな』って思ってソレで……」



上司「それでも、これが上の決定だ」



菜々P「……はい」



退室後

菜々「プロデューサーさん……」



菜々P「菜々ちゃんも聞いたんだ、その、色々」



菜々「”菜々ちゃん”、ですか……(ポツリ)」



菜々P「……済まない。本当は、俺の口からすぐにでも言うべきだったのかもしれなかったのに」



菜々「プロデューサーさんのせいじゃ無いですよ……」



菜々P「済まない……」



菜々「ナナは……プロデューサーさんが”ウサミン”って呼んでくれたナナは、アイドルとしての理想でもあるんです。いつも元気で、キラキラしてて……」



菜々「でも、それがダメって言われたら、わたしはどんな風にアイドルをしていけば良いのか……」



菜々P(ここは、俺がしっかりしないと……)



菜々P「プロデューサーとしては、つまり売りこむ側としては、今は社の方針に従って”ウサミン”はちょっとの間封印した方が無難、だと思う」



菜々「……(やっぱり)」



菜々P「せっかく良い仕事が増えて来たんだ。こんな時に下手打って、売りこむチャンスを潰すのは、なんて言うか、その、現実的に考えて上手くない」



菜々「でも……」



菜々P「だ、だ〜いじょうぶだって!要はダンスレッスンとボイスレッスンを頑張れば良いってハナシ!」



菜々「でも……」



菜々P「なんとかなるさ!ウサミンのド根性は俺が一番良く知ってる」



菜々P「それに、”ウサミン”は少しの間封印するだけ。それにウサミミだっていくらでもステージ衣装に付いてくるさ!」



菜々「はい……」

菜々P(アイドル事業部発足間もないころにスカウトしたアイドル、それがウサミンこと安部菜々だ)



菜々P(スカウトした理由は感覚的なモノで、言葉にするのは難しい。強いて言えば、彼女の笑顔に”ティンと来た”ってヤツだ)



菜々P(これはトップアイドルの器だ!と意気込んではみたものの、中々芽が出ない)



菜々P(ウサミンは悪くない。一見電波系なキャラ作ってるけど、よくよく話してみると真面目で努力家。歳はまぁ……新人アイドルとしては上な方だが、許容範囲内だろう)



菜々P(大器晩成ってこともあったんだろうが、俺の方もあまり良い仕事を取れなかったってのもある)



菜々P(仕事の少なさと通勤時間との兼ね合いから、関係者に拝み倒して社内の『346カフェ』で働かせてたが、今思うとあれはあまり良く無い手だったと思う)



菜々P(売れっ子アイドルの同僚に対して接客しなきゃならない売れないアイドル。社員の中には、彼女をただの店員だと思っていたヤツもいる)



菜々P(ウサミンの感じた惨めさは、想像するあまりある)



菜々P(いや、実際どうだったかは知らないけど。その辺、怖くて聞けてない)



菜々P(ともあれ、俺は誓った。もう二度と、ウサミンにあんな惨めな思いをさせないと。トップアイドルに導いて見せると)



菜々(そう誓った、はずなんだが……)

廊下

菜々P「(ブツブツ)まずはリズモンイベントの関係者に連絡。次に空いた分のスケジュールを調整。あとはトレーナーさんとのレッスンの打ち合わせ。アーティスト路線となると、やっぱり曲をどうにかしねーと……(ブツブツ)」



武内P「お疲れ様です」



菜々P「んお!?ああ、お前か。お疲れ」



武内P「今回のことは、その……残念でした」



菜々P「ああ、コーナーのこと?そんなの、新しい仕事を取ってくりゃ良いだけの話さ」



武内P「いえ、それだけではなく……」



菜々P「あー……。ま、バラエティでも何でも、そんなん全部アイドルの魅力を伝える手段でしかねぇ。方向性なんてどうにでもなるさ(ハハ…)」



武内P「……」



菜々P「それよかさ、お前。常務への代案、『シンデレラの舞踏会』だっけ?無事通ったらしいじゃん。さっすがやり手のプロデューサーだな。なんつーか、同期入社として鼻が高いってぇの?」



武内P「私だけの力ではありません。シンデレラプロジェクトのアイドルの皆さんの力があってこそです」



菜々P「(イラ)いくらアイドルが良くても……プロデューサーがダメなら意味ねーだろが」



武内P「いえ、そう言うことでは……」



菜々P「俺に言わせればよ。常務相手にあんなにブチかましてお咎めなし。それどころか新企画やらせてもらえてるってのは大概あり得ないことな訳よ」



菜々P「俺みたいに実績もコネも知恵も無いヤツにゃやりたくてもできねぇ。お前みたいなやり手……成功者だからできることだ」



武内P「成功者、ですか」



菜々P「違うのか?違わないとは言わせねぇ。まぁ確かに、前に担当アイドルとひと悶着あったってのは聞いたが、基本見事なキャリアじゃねぇか。最近じゃシンデレラプロジェクトなんて任されてさ。常務が認めるのも良く分かる」



武内P「私は、自分の仕事に対してそうした見方をしたことはありません。それに、私の仕事に成功と言うものがあったとしたら、アイドルたちの力です。アイドルたちの、笑顔の」



菜々P「だーかーら、そのアイドルを輝かせンのがプロデューサーの仕事だろ?今までの子も、シンデレラプロジェクトの子も、プロデューサーのお前が成功のための正しい道を示してやれたからこそ、売れっ子アイドルになれたんじゃねーの?」



武内P「それは……」



菜々P「悪ぃ。こりゃ八つ当たりだな。いくらなんでも言いすぎた」



武内P「いえ。気にしていません」



菜々P「本当ゴメン。やせ我慢したは良いが、こうも立て続けに色々思い通りにいかなくなると、自分で思ってるより案外キツいみてぇだ」



武内P「それは、思い通りにしたいと言うことですか?」



菜々P「どーなんだろ。最近どーも出来ないことが多すぎてな。自分でもどうしたいのか正直ハッキリ見えてこねぇ。プロデューサーならそれくらい分かってなきゃならねぇンだろうが」



武内P「すみません、安部菜々さんのスケジュールは、今後どうなっていますか?」



P「はい?」

スマホゲーム『リズモン』販促イベント控室

菜々P「良いか、菜々ちゃん。菜々ちゃんは今までもリズモン関係で何度もメディアに出てる。だから、”ウサミン”でなくてもいつもの調子で十分やれる。オーケー?」



菜々「……はい」



菜々P「それじゃ、俺はスタッフとの打ち合わせに行ってくるから(ガチャ)」





室外

菜々P(なんて、薄っぺらいこと言うなぁ、俺)



菜々P(でも、ここで上手くやれればプロデュースの方向性を示すことができる。上からどうこう言われることも無くなる。それにそもそも、ウサミンの地力ならこれくらいのプレッシャーはどうにかなる……筈だ)



武内P「おはようございます」



菜々P「あ!?ああ、おはようございます。びっくりさせてくれるなよ……」



武内P「すみません、そのようなつもりは無かったのですが」



菜々P「ああ、こっちも考え事をしていたし。で、この子が?」



みく「本日、菜々さんのステージを見学させていただく、アスタリスクの前川みくです。よろしくお願いします(ペコリ)」



菜々P「こちらこそよろしく。なんだか悪いね、売れっ子アイドルにわざわざ(仕事の時とイメージ違うな、眼鏡だし……)」



菜々P(この前、ウサミンのスケジュールを聞いてきたシンデレラプロジェクトのプロデューサーが申し出たのは奇妙な話だった)



菜々P(アスタリスクのメンバー ―――実際は前川みくちゃん1人だったが―――に、ウサミンの仕事を見学させて欲しいと言うものだ)



みく「いえ!菜々チャンはみくの目標なんです!!そのお仕事を見学させてもらえるなんてとてつもなく光栄なことです!!(ズイ)」



菜々P「お、おう……。(ウサミンが目標、ってのは本当にマジなんだな)」



武内P「先輩である安部さんのお仕事を見学することは、彼女にとっても有意義なことだと思ったので」



菜々P「ああ、そうだ。ウサ……菜々ちゃんならこの奥の控室にいるから。みくちゃんが顔出せば喜ぶと思うぜ」



みく「ありがとうございます(ペコリ)」



菜々P(若いなぁ……)

打ち合わせ後

菜々P(思ったより早く終わったな。まぁ段取りが最初よりも随分シンプルになったから当たり前なんだが……。控室の前にいるのはシンデレラプロジェクトのプロデューサーか)



菜々P「お疲れさま」



武内P「お疲れ様です」



菜々P「みくちゃんは?」



武内P「前川さんは、中で安部さんとお話されています」



菜々P「ふーん」



武内P「……」



菜々P「何考えてるんだ。みくちゃんに、同じキャラ付け系アイドルのウサミンを見せて」



武内P「どうするにせよ、どうするのかを決めるのは、前川さんです」



菜々P「案外放任なんだな。昔はそうでも無かったのに」



武内P「色々、ありましたから」



菜々P「そっか。ま、少なくとも安心はしたかな」



武内P「安心ですか?」



菜々P「もしもみくちゃんに、ウサミンをプロデュースの失敗例として見せるつもりだったら、一発ブン殴るつもりだったから」



武内P「暴力は、良くないと思います」



菜々P「ああ。だからそうならなくて安心」



武内P「安部さんは、失敗などでは無いと思います」



菜々P「当たり前だ。ウチのアイドルは最高だからな。あと3年もすればウサミンビッグウェーブが日本中を席巻してる。賭けても良いぜ」



武内P「シンデレラプロジェクトも、負けてはいないつもりです」



菜々P「言ってろ。……まぁ、俺の裁量次第じゃ3年が10年20年になるかもなんだよな」



武内P「……今回のイベントの、変更前の流れをスタッフさんから聞かせていただきました。彼女の個性を活かした良いステージだと思います」



菜々P「打ち合わせがすごい盛り上がってな。全部が全部俺のアイディアじゃねぇが、我ながら自信作だったぜ。つっても、今日はソイツを随分オミットさせてもらったけどな」



武内P「良かったのですか、変えてしまって」



菜々P「そうしないと、上が黙って無いだろ。まー、お陰で打ち合わせがサクッと終わったけどな。今日のプロデューサーとしての仕事は殆ど終わったようなモンだ(ハハ…)」



武内P「……貴方は、アイドルのプロデュース方針についてどうお考えですか?」



菜々P「まずは売ることが第一、だな。利益を出して、それ以上に顔を売ること。一秒でも早く、一人でも多くに、担当アイドルの魅力を知ってもらう。そうしなきゃ、どんなに良いアイドルだって埋もれちまう」



武内P「それでは、担当アイドルの『何を』売り込むことが一番大事だと思いますか」



菜々P「それは……」



―――菜々P『コノ子ハ世界中ノミンッナヲ笑顔ニ出来ル』―――



菜々P「……答えられない。いや、答えたくない」



菜々P「それっぽい言葉ならいくらでも用意できる。でも、今の俺がそれを口にしたら……全部ウソ臭くなりそうで」



武内P「そうですか」



菜々P「お前はどうなんだ?何が一番大事だと思う?」



武内P「笑顔です」



菜々P「笑顔?」



武内P「アイドルたちが、彼女たちらしい個性で観客を湧かせる笑顔、彼女たちが心から浮かべる笑顔。それが大事だと思います」



菜々P「ブレねぇなぁ。俺みたいな駄目プロデューサーにゃ、とてもそこまで強く言えねぇ。やっぱ結果出してる奴は違うなぁ……」



武内P「大事な物が見えているからこそ結果が着いてくるのでは無いでしょうか」



菜々P「それこそ、結果を出した後だから言える台詞じゃねーの?」



武内P「それは……」



イベントスタッフ「すいませーん、プロデューサーさんと最後にもう少し確認したい所があるのですがー?」



菜々P「ああ、俺?すみません、すぐ行きます」(タッタッタッタ…)

菜々(私は安部菜々。トップアイドルを夢見る、色んな意味で崖っぷちな永遠の17歳です)



菜々(プロデューサーにスカウトされて、ようやくチャンスが巡ってきたのは(ピー)歳のこと)



菜々(最初は、小さなお仕事ばかりでした。けれども、夢に見たアイドルのお仕事ができたのは本当に嬉しくて)



菜々(それだけでは食べていけないので、プロデューサーの尽力で346カフェで働かせていただいて)



菜々(カフェでは、苦しいことも無いではないでしたけれども、トップを走るアイドルの皆さんの姿を間近で見られることもあって、充実していました)



菜々(プロデューサーさんは、ちょっとだけ頼りない所もあるけど、いつも一生懸命で、年上なのになんかかわいいんですよねー。ノリも良いですし、よくお酒にも付き合ってくれますし)



菜々(前のイベントでウサミン星人の着ぐるみを着てくれたこともありましたっけ)



菜々(ナナのナナらしさに、一番初めに理解を示してくれて、そのためならどこまでだって頑張ってくれた人)



菜々(この人と一緒にお仕事が出来て本当に良かったと思います)



菜々(そして、ラジオのお仕事に続いて、CD、テレビと少しずつ手応えを感じてきて……その矢先の今回の通達)



菜々(もめ事を起こしたりして、ようやく売れてきた勢いを殺しちゃいけないというのは、プロデューサーさんの言う通りだと思います)



菜々(それに、年齢的にもナナがアイドルとして出発できるであろう最後のチャンス)



菜々(事務所の方針に従って、ウサミンを封印しようと決めた……つもりでした)



菜々(でも……)



みく(菜々チャン、ウサミン辞めちゃうの?)



菜々(若い子ってストレートですよね)



みく(誰かに言われて辞めるって……。菜々チャンにとって、ウサミンはその程度の物なの!?)



菜々(そんな訳、無いじゃないですか)



みく(みくの憧れた菜々ちゃんは……菜々ちゃんは……)



菜々(そんな顔しないで下さいよ)



菜々(ナナに向けて、あんな純粋なキラキラした視線を向けてくれた子に、私は何をしてあげられるんでしょう?)



菜々(私は、ナナは、アイドルとしてどうすれば良いんでしょう?)



菜々(そんなみくちゃんの姿は、私にとってあまりに鮮烈で……)



菜々(私は今、みくちゃんへの答えを持たないまま、ステージに立っています)

リズモンイベント本番

菜々「リズモンイベントにようこそ!司会進行のウサ……じゃなくて安部菜々です」



観客「ガヤガヤ」



少年「だれー?」



菜々「みなさーん、リズモンプレイしてますかー?(してるー。)ですよねー」



観客「立ち見辛い……」



観客「次に周るのは……」



武内P「……」



菜々P(後ロカラコソ……)



菜々P(うわキツ)



菜々P(こりゃ思った以上にキツい)



菜々P(どいつもコイツも”アイドルにすごい興味のある層”じゃないからウサミンが出てきてもノッて来れねぇ。ウサミンもイベントを回そうと空元気が空回ってる)



菜々P(別に誰が悪い訳でもねぇし、特別条件が悪い訳でも無い。何度も見なれた、よくあるシチュエーションだ)



菜々P(何だかんだ言って、ウサミンも仕事はちゃんとこなせてる。スムーズでつつがない、流れを乱すようなミスもない、理想的なくらいの進行ぶりは、さすがウサミンだ)



菜々P(この仕事ぶりを見れば上は何の文句も言わねぇだろう)



菜々P(余計な波風を立てずに、事務所のバックアップも十分に受けて、これからも”安部菜々”を売れるだろう)



菜々P(でも……!)



菜々P(違う。違うんだ。俺の見たかった景色はコレじゃない……!)



菜々P(ウサミンはホントはもっとキラキラしてるんだ!もっとキラキラした所に行ける奴なんだ!お前らの目は節穴か!!)



菜々P(ウサミンもウサミンだ!何しょぼくれた顔してやがんだ!テメェのキラキラを押し籠めやがって!!)



菜々P(そうじゃないだろう!そうじゃなかっただろう、お前は!いつだって!)



菜々P(どんな小さな仕事だって、どんなに笑われたって、キラキラしてただろうが!)



菜々P(……いや、そのキラキラを押し籠めちまったのは、他でも無い俺だ)



菜々P(どうすれば良い?俺に何が出来る?ウサミンのために……?)



みく「菜々チャン!!」



菜々「菜々ちゃん!?」



菜々P「どうして……」



みく「ミンミンミン!ミンミンミン!ウーサミン!!ミンミンミン!ミンミンミン!ウーサミン!!」



観客「なんだろ……?」



少年「わぁ……!」



観客「なにやってるんだ、あの子?」



みく「ミンミンミン!ミンミンミン!!ウーサミン!ミンミンミン!ミンミンミン!ウーサミン!!」



菜々P(ああ、そうだ。ウサミンが目標だって、あんな純粋でキラキラした目を向けて。みくちゃんは、本当にウサミンが好きなんだ)



観客「何か始まるのか……?」



菜々「みくちゃん……」



菜々P(それってほとんどウサミンのファンじゃねぇか……!)



菜々P(そして、アイドルにとって一番のエネルギーは……!!)



菜々P「ファンの応援だ!!」

みく「ミンミンミン!ミンミンミン!ウーサミン!!」



菜々P「ミミミン!ミミミン!ウーサミン!!」



みく「ミンミンミン!ミンミンミン!ウーサミン!!」



菜々P「ミミミン!ミミミン!ウーサミン!!」



菜々(キッ!)



菜々「ピピピ!ピピピ!ウサミン星より受信!ウサミンコールにより、メルヘンチェンジを妨害していた不確定因子が排除された模様!!ウサミンにほどこされた封印を解除しまーす!!!(バッ!)」



菜々「せーの!……メルヘンチェーンジ!!」



音響『ミンミンミン!ミンミンミン!ウーサミン!』



菜々P(これは、使わないハズだった音源と映像……!?)



武内P(ス……)



菜々P「お前、そのウサミミ!?」



菜々「プロデューサーさん!あの……!」



菜々P「いいから早く行って来い!」



菜々(コクリ)



菜々「お待たせしました!本日のリズモンステージ、最初のメインイベント!」



菜々「愛と希望を両耳にひっさげてウサミン星よりやって来たわたくしウサミンより、レアリズモンをプレゼント!!」



菜々P「これだ……」



菜々「さぁ、準備は良いですか?ハートウェーブ、ピリピリ〜!」



菜々P「これが見たかったんだ、俺は」



観客「ワァァァ!」



菜々P「ウサミンのキラキラな笑顔で、みんなも笑顔になって……」



少年「ありがとう、ウサミン!」



菜々P「ここにいるみんながキラッキラで……」



菜々「リズモンワールド、ウーサミン!ウサミンと一緒に、最後まで楽しんで言って下さいね!キャハッ!」



菜々P「そんな輝きを、俺は見たかったんだ(ポロ…)」



観客「YEAAAAAAAAAAAAAAAAAH!」



菜々P「連れて行きたかったんだ(ポロポロ……)」

武内P「申し訳ありませんでした。勝手に段取りを変えてしまって」



菜々P「いや、最高にクレバーな対応だったと思うぜ。それに、お前には礼を言わないとだな」



菜々P「ありがとう。お前と、そしてみくちゃんのお陰で忘れちゃいけないものに気づけた気がする」



菜々P「アイドルが、ファンが、最高の笑顔で、輝けるどこかや何か。それを1つでも多く用意すること。それがアイドルを売り込むってことで……俺にとって一番大切なことなんだって」



武内P「思い出せたのですね、見えなかった物が」



菜々P「ああ。……ンでさ、ちょっと頼みたいんだけど」



武内P「何でしょうか?」



菜々P「お前がウサミンをプロデュースしてくれね?」



武内P「どういうことでしょうか」



菜々P「言葉通りの意味だ。今の俺の力じゃ、ウサミンを輝かせることはできねぇ。今日だってアイツのために何もできなかった」



武内P「……」



菜々P「それに引き換えお前は、見事な手際だったじゃねぇか」



菜々P「お前にならウサミンを任せられる。アイツに示してやってくれ。輝きに至る、正しい道を」



武内P「それは……」



(ポト…)



菜々「どういうことですか、それ……」



みく「……」



武内P「前川さん、安部さん」



菜々P「どう言うことって……そういうことさ」



菜々「プロデューサーさん、ナナとお仕事するの辞めちゃうんですか!?」



菜々P「まぁ、あれだ。アイドルにやりやすい場所を用意するのも、プロデューサーとしての仕事だからな」



菜々「ナナは、プロデューサーさんとお仕事するのやめたくありません!」



菜々P「……俺はよ。今何かあったって潰しが効くんだ。再就職だって今時珍しくないしな。でも、お前は違うだろ。ようやくチャンスが巡って来たんだ。無駄にしちゃいけないぜ」



みく「再就職って……」



武内P「あなたは……」



菜々「ナナも、ウサミンとしてお仕事できるのはこれが最後だろうなって思いました。でも、みくちゃんが言ってくれたんです。事務所に何を言われても良い。ナナ達が大事にしてることをみんなに認めさせてやれば良いんだって」



菜々P「でも、そのために何もできなかっただろ、俺!今までも、全っ然ダメだったし、それに今日だって……」



菜々「『ミンミンミン!ミンミンミン!ウーサミン!』ですよ?」



菜々P「え……?」



菜々「コール、プロデューサーさんが間違えちゃ駄目じゃないですか。まぁ、たまにやっちゃいますけどね、『ミミミン、ミミミン』って」



菜々P[ウサミン……」



菜々「プロデューサーさんがやってくれたこと、ちゃんと届いてましたよ」



菜々P「でも、俺よりもコイツの方がずっと有能で……」



みく「にゃ……」



菜々P「にゃ?」



みく「にゃあああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!」





菜々「み、みくちゃん!?」



みく「さっきから黙って聞いてれば。菜々チャンのプロデューサーさん、全然ロックじゃ無いです!」



菜々P「ろ……ろっく?」



みく「プロデューサーさんだって本当は菜々チャンともっとずっとお仕事したいんでしょう!?なのになんで、それを放り出すようなこと言うんですか!!」



菜々P「いやね、みくちゃん。俺は君ンとこのプロデューサーさんみたいなすごい奴じゃなくてね?」



みく「Pちゃんだって駄目駄目ですにゃ!」



菜々「みくちゃん、それは言いすぎじゃ……」



みく「笑顔が下手だし、口下手だし、『シンデレラの舞踏会』のこと考えてる時もすっごい怖い顔でウンウン呻ってて、みくたちの力を合わせてようやく形になった位の勢いで……」



武内P「ま、前川さん……」



みく「大体、なんで1人で背負込んでるみたいな顔してるんですか。どうせならみくやPちゃんをもっと頼って……そうだ!」



みく「菜々チャンもプロデューサーさんも、シンデレラプロジェクトと一緒にお仕事するようにすれば良いにゃ!」



菜々P「いや、でも俺たちは別の部署で……」



みく「そんなこと関係無いにゃ!」



菜々P「でも……」



武内P「私も、少し前までは自分の立場から……いえ、自分の弱さから他の人を頼ることができませんでした」



菜々P「お前……」



武内P「けれども、今では少しずつ変わることができていると思います。そして、前川さんや他のアイドルの皆さん、それに他の多くの人々の力を借りて、ここまで来ることが、『結果を出す』ことができました」



武内P「前川さんの言う通り、今回の企画を通すことも、私1人ではできなかったでしょう」



武内P「アイドルにも、プロデューサーにも、それぞれ足りない所、優れた所―――個性があります。それぞれの個性が合わさることで、より大きな輝きが生まれる。私はそう思います」



武内P「力を合わせましょう。アイドルとも、私達とも」



菜々「一緒に行きましょう、プロデューサーさん!輝きの……いえ!輝きの向こう側まで!」



菜々P「……やれやれ」



菜々P「そこまで言われたら、最後までやらねーと格好悪いわな」



菜々「プロデューサーさん……!」



菜々P「行くぜ、ウサミン!ウサミン星の遥か向こうまで!」



菜々「はい!」



菜々P「あ、でも時々明後日の方向に行っちまうのは堪忍な」



菜々「そしたらニンジンのロケットで軌道修正ですよ!」



菜々P「だな!」



みく「どうにか、一件落着みたいだにゃ」



武内P「はい」

NOMAKE



居酒屋

菜々P「それでは、改めて。ウサミン復活を祝って……」



菜々&菜々P「「かんぱーい!!」」



菜々「ゴクゴクゴク……ぷはー!お酒が美味しいです!」



菜々P「だな。リズモンイベントは大好評だったし、シンデレラプロジェクトとの協力もどうにかなったし。最高の気分だ」



菜々「正直、一時はどうなるかと思いましたよ」



菜々P「まー最悪、俺がゴタゴタの責任を取って辞表出せば良いかなーって感じだったけどな」



菜々「もう、またそんなこと言って。ウサミンハートは繊細なんですからね!」



菜々P「悪い悪い。もうンなこと言わないからさ。それよか気を引き締めなよ、ウサミン。リズモン関係の以外にも仕事はどんどん来てるし、その上レッスンも増えたからな。忙しいのはこれからだ」



菜々「結局増やすんですね、レッスン……」



菜々P「当たり前だ。ウサミンは歌って踊れる声優アイドルなんだろ?」



菜々「はい。頑張ります、キツいけど……。でも、寂しくなりますねー」



菜々P「何が?」



菜々「だって、アイドルの仕事が忙しくなるとあまりカフェで働くことができなくなりますから」



菜々P「(ガタ!)まだあそこで働きたいの、ウサミン!?」



菜々「はい。若いアイドルの子達と仲良くなれたりして、結構楽しい職場ですよ」



菜々P「あそこでスゲェ苦労してると思って後悔してたのに……。最悪の下積みをやらせたと思ってたのに……」



菜々「それはお仕事ですから楽しいことばかりでも無かったですけれど……。って言うかプロデューサーさん、最近「このチャンスを逃すな!」って焦り気味だったのそれが原因だったんですか?」



菜々P「当たり前だろ。って言うか、ウサミンは違うの?」



菜々「ナナはどちらかと言うと、その……(ボソ)年齢的に……。って言うかそう言う話だと思ってたんですけど!」



菜々P「あー、俺はそこまで気にして無かったわ。ウチの部署でお前より年上のアイドルはそれなりにいるし」



菜々「もう、プロデューサーさん!年齢の問題は乙女にとっては切実な問題なんですよ!」



菜々P「そこはむしろ歳なんて気にせず、ウサミンのアイドルとしての才能を見抜いた俺の慧眼にだな……」



少年「あー、ウサミンだ!」



菜々「あ、キミはリズモンイベントに来てた!こんばんは、ウサミン17歳です!キャハッ!」



菜々P「今日は、親御さんとお食事かな?」



少年母(ペコリ)



少年「ねぇねぇ、ウサミンが飲んでるのってビール?”じゅーななさい”ってビール飲んで良いの?」



菜々「い、いやですね!?ウサミンは17歳ですけどですね!?これはですね!?」



菜々P(ニヤニヤ)



菜々P(どうやら、ウサミンのトップアイドルへの道は明るいみたいだな)



菜々「助けてくださいよう、プロデューサーさ〜ん!!」



時計の針(カチ)