P「いや違うけど」



まゆ「えっ」



P「えっ」





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まゆ「だって、これだけまゆがアピールしても全然反応とか欲情とかしないし……」



P「プロデューサーがアイドルに欲情しちゃだめだろ。そういうよこしまな気持ちが起きないように努力してるの」



まゆ「……それだけですか」



P「それだけ」



まゆ「我慢しているうちに男の人の方に欲情するようになったとか」



P「ない」



まゆ「最近部長のお尻がちょっと気になったり」



P「ないです」



まゆ「……そうですかぁ」



まゆ「うふふ、安心しました。まゆ、てっきりPさんは女の人に興味がないとばかり」



P「誤解が解けてなによりだ」



まゆ「でも、困りましたねぇ」



P「なにがだ?」



まゆ「決してまゆが言いふらしたわけじゃないんですけどぉ。アイドルのみんなの間にも、Pさんはホモだという噂が広まっていて……」



P「マジか」



まゆ「マジです」



P「いつの間にかそんな事態になっていたとは……これからアイドル達に会ったら、ちゃんと誤解を解かないとな」



まゆ「頑張ってくださいねぇ」



P「おう」



翌日





ゆかり「………すぅ」



P「あれ。ゆかり、またソファーで寝てるのか」



ゆかり「むにゃ……あ、Pさん……?」



P「悪い、起こしちゃったか」



ゆかり「Pさんも一緒に寝ますか? 柔らかくて寝心地がいいですよー……」ポワポワ



P「相変わらず、寝起きのゆかりはいつもと様子が全然違うなあ」



P「ソファーに二人並んで寝たら狭いだろ。相当くっつかないと入りきらないぞ」



ゆかり「うふ、それもそれで楽しそう……」



P「無防備な表情でそんなこと言ってると、男を勘違いさせちゃうぞ」



ゆかり「大丈夫ですよ……Pさんは、男の方がお好きだと聞きましたから……」



P「……まゆの言う通り、本当に噂が広まっているみたいだな」



P「ゆかり。俺は男好きじゃないぞ」



ゆかり「……?」キョトン



P「普通に女の人が好きなんだ」



ゆかり「………」



ゆかり「………!?」ガバッ



P「(目を見開いたゆかりは、一瞬のうちにソファーの端まで移動して俺と距離をとる)」







ゆかり「そ、そうなのですか……? 私、とんでもない勘違いを」



ゆかり「はしたない姿を見せてしまって……」アタフタ



P「そんな慌てて髪型を整えなくても」



ゆかり「慌てます! ……は、恥ずかしいですから」



P「(どうやらゆかりの無防備さは、俺がホモだと思って油断していたことから生まれていたらしい)」



P「(しかし、顔を赤くしてあたふたしている姿を見ると、それはそれでグッとくるものが……いや、考えるのはよそう。俺はプロデューサーだ)」



昼前





智絵里「撮影、終わりました」



P「お疲れ様。ちゃんとひとりでも仕事をこなせるようになってきたな」



智絵里「だいぶ、慣れてきましたから……皆さん、よくしてくれますし」



P「そうか」



智絵里「あの、Pさん……また、いつもみたいにしてくれますか?」



P「ん? ああ、こうか?」ナデナデ



智絵里「えへへ、ありがとうございます」



智絵里「頭を撫でてもらうと、なぜか心がぽかぽかするんです」



P「(出会った当初はびくびくしていた智絵里も、今ではすっかり気を許してくれているが……これも、俺をホモだと思って油断しているからなのだろうか)」



智絵里「♪」



P「智絵里」



智絵里「なんですか?」



P「俺がホモだって噂は聞いてるか」



智絵里「あ……はい。でも、誰を好きになるかはその人の自由ですから。Pさんが男の人を好きでも、わたしは別に」



P「あれ、違うから」



智絵里「……え?」



P「俺はホモじゃない。美人の女性が好きだ」



智絵里「男の人に、エッチな気持ちを抱かないんですか?」



P「抱かない」



智絵里「部長さんのお尻に興味がいったりとか」



P「いかない。というかなに、その表現流行ってるの?」



智絵里「………」



P「(智絵里の視線が、自分の頭の上に置かれた俺の手に向けられる)」



智絵里「」ボンッ



P「あ、爆発した」



智絵里「あ、あわわ……そんな、わたしてっきりそうなのだとばかりっ」



P「なんかごめんな? 勘違いさせちゃったみたいで」



智絵里「Pさんのせいじゃありません! けど……その」チラッ



P「ああ、この手か。うん、恥ずかしいんなら、もう頭撫でるのはやめるから」



智絵里「あっ……」



P「ん?」



智絵里「いえ、その」



P「(引っこめた手をチラチラと名残惜しそうに見る智絵里)」



智絵里「……だ、大丈夫です」



P「大丈夫?」



智絵里「Pさんがホモでなくても大丈夫なので……これからも、頭を撫でてもらえると、うれしい……です」



P「お、おう……そうか」ナデナデ



P「(どうやら、智絵里は俺の予想以上に心を許してくれていたらしい)」



P「(信頼関係の醸成にちょっぴり感動する)」



智絵里「えへへ……」



P「(恥ずかしがりながら喜んでる顔、かわいいな)」



昼さがり





こずえ「ふわぁ……」



P「こずえ、眠いのか?」



こずえ「ねむいー……おひるねするー」



P「そうか。レッスンまでは時間あるから、お昼寝していいぞ」



P「どこで寝る?」



こずえ「ふわぁ……ぷろでゅーさーのうえ……」ポフッ



P「流れるような動作で俺の膝の上に移動したな」



こずえ「……ぷろでゅーさー」



P「ん?」



こずえ「ぷろでゅーさー……ほも?」



P「違うよ。あとそういう言葉は使っちゃいけません」



こずえ「……?」



こずえ「……おとこずきー……だんしょくかー……?」



P「誰だそんな言葉を教えたのは」



P「とにかく、全部違うから」



P「俺は男じゃなくて、女の子が好きだよ」



こずえ「ぷろでゅーさー……おんなのこ、すきー」



P「うん、そうだよ」



こずえ「こずえも……おんなのこー」



こずえ「ぷろでゅーさー……こずえ、すきー?」



P「ああ。好きだよ」



こずえ「えへー……こずえも……ぷろでゅーさー、すきー」



こずえ「………すぅー」



P「眠ったか」



P「やはり小さな子には癒される」



まゆ「ロリコ」



P「これ以上風評被害を広めるのはやめてくれ。というかどっから湧いてきた」



まゆ「いつもニコニコあなたの隣に――」



まゆ「……今は静かにしましょうか」



P「……そうだな」



こずえ「すぅー……」



別の日





愛海「プロデューサー」



P「なに」



愛海「くるみちゃんのおっぱい揉みたい」



P「駄目」



愛海「ダメか〜」



P「俺が許可を出すわけないだろう」



愛海「ま、そうだよね。プロデューサーだもんね」



P「許可が出ないことをわかっていながら一応聞くあたり、お前の胸に対する執着もすごいよな」



愛海「そりゃそうだよ! 女性のバストは人智を超えた至宝なんだよ」



P「(相変わらずのおっぱい星人ぶりだ。愛海みたいなタイプは、多分俺がホモであろうがなかろうが関係ないんだろうな)」



P「小さい胸も至宝になるのか」



愛海「当然。普通の人は大きい方がいいなんて言うけどね」グイッ



P「(手首をつかまれ、そのまま愛海の胸にまで持っていかれる)」



愛海「ほら。あたしの胸は大きくないけど、それでもいい感触でしょ?」



愛海「だから、胸に貴賤はないのだっ」キリッ



P「それを説明するために自分の胸を揉ませるのか……愛海、もう少し恥じらいってものを覚えた方がいいぞ」



愛海「へーきへーき。だってプロデューサー、ホモなんでしょ?」



P「いや、違うけど」



愛海「………」





愛海「え?」



P「さっきからその噂の火消しに取りかかってるんだ。俺はいたってノーマルだから、普通に女の子が好きだよ」



愛海「……じゃあ、女の子のおっぱいも好き?」



P「まあ、一般の男が好きなのと同じくらいには」



愛海「……あたし、もうかれこれ5回はプロデューサーにおっぱい触らせてるよね」



P「そのくらいになるかな」



愛海「………」



愛海「〜〜〜っ!?」カアァ



P「おい、愛海大丈夫か」



愛海「だ、大丈夫じゃないよ〜〜!!」ズダダダッ



P「(顔を真っ赤にした愛海は、そのまま脱兎のごとく部屋から逃げ出したのだった)」



P「愛海のあんな表情、初めて見たな……」



おやつの時間





法子「プロデューサー! ドーナツ買ってきたから一緒に食べよ?」



P「おお、ちょうど小腹がすいてたところなんだ。ありがとう、いただくよ」



法子「はい、どーぞ。プレーンシュガーだよ」



P「いただきます」



法子「いただきます!」





法子「うん、やっぱりあの店のドーナツは至高の味だねっ」モグモグ



P「法子のお気に入りだけあって、さすがにうまいな」



法子「でしょ?」



P「うん。……それでだな、法子。ちょっと話したいことがあるんだが」



法子「はひ(なに)?」



P「なんか噂になってるらしいが、俺はホモじゃないんだ」



法子「ほーなんだ(そうなんだ)」



P「それだけだ。勘違いされたままだと嫌だから、訂正しておくよ」



法子「そっかー……あ、そうだ」



法子「プロデューサー。このドーナツ、おいしいんだけど一個しか残ってなかったの。だから半分こしよ?」



P「いいのか? じゃあもらうよ」



法子「それじゃドーナツをふたつに割って……はい。おっきい方あげる」



P「サンキュー」



法子「もぐもぐ……おいしいね!」



P「おいしいな」



P「(平和だなー)」



P「というわけで、俺はホモじゃないんだ」



由里子「は?」



P「いや、だから男より女が好きなんだ」



由里子「は?」



P「………」



由里子「は?」



P「なんで俺がそんな失望の眼差しで見られなきゃいけないの」



由里子「………」



由里子「はあ〜……まあいいじぇ」



由里子「アタシの創作の中のプロデューサーは、部長とラブラブいちゃいちゃのままだから」



P「おい」



P「それからも、みんなの誤解を解く作業が続いた」





晶葉「なに! Pはホモではないのか!?」



晶葉「そうだったのか……だとすると、開発中だった『ホモをノンケにシテイーヨ!』の実験台がいなくなるではないか」







杏「えー、プロデューサーホモじゃなかったの?」



杏「杏、いっつもお姫様だっこされたりおんぶされたりしてるのに……プロデューサーがホモじゃなかったら……」



杏「……ま、別にいっか。ひとりで歩くの面倒だし」







琴歌「まあ! P様は男色家ではいらっしゃらなかったのですね」



琴歌「私、よかれと思って知り合いの同性愛者の資産家の方を紹介しようと思っていたのですが……」







P「照れる子もいたし、全然態度が変わらない子もいたな」



まゆ「最後、なにげに危なかったですねぇ」



P「琴歌の話を聞いた時、尻の穴がきゅっと締まる思いがした」



まゆ「でも、全員の誤解が解けてよかったですね」



P「ま、そうだな。特にみんなとの関係がおかしくなることもなかったし」



まゆ「一安心、ですねぇ」



P「まったくだ。ところでまゆ」



まゆ「はい」



P「なぜさっきから俺の背中にくっついている」



まゆ「色仕掛けです♪」



まゆ「Pさんがノーマルだということもわかったので、安心して攻めることができますよぉ」



P「俺がホモじゃないとわかって過剰なスキンシップを控える子はいたけど、さらにスキンシップを加速させる子はまゆだけだな」



P「愛海なんて慌てふためいて逃げ出したくらいなのに」



P「……そういえば、あの後あの子と顔合わせてないな」



ガチャ





愛海「おはようございます」



P「おう愛海、おはよ……う?」







愛海「おはようございます」←白無垢姿



P「……なに、その恰好」



愛海「ホモでない殿方にあれだけ胸を触られた以上、私はもうその方のもとに嫁ぐしかありません」



愛海「どうか、清き交際をよろしくお願いします」ペコリ





P「………」



まゆ「………」





P・まゆ「えぇ……?」





おしまい