海未「出来ました、新曲の歌詞です」



真姫「ありがとう、海未。早速みんなで合わせてみましょう」



海未「真姫のメロディに合っているか心配です、あの、良ければ添削などしてくれれば……」



真姫「添削って、別に私は海未のことを信じてるから……」





『断罪』



作曲: 西木野真姫

作詞: 園田海未







船尾に立つ白波の尾



拘束されし12人の奴隷



天啓は雲海の狭間を縫い



光柱となりて地を癒せ



我らは虚空の申し子



螺旋下位の原罪



反復する遺伝子たちよ



口腔の泥濘を賞味せよ



大歓喜 大共鳴 陶酔 楽土に臥せる闇



五臓を捧げし都の轍よ







海未「今回の曲調はクールでしたからね。これは基督教の腐敗及び魔女狩りをモチーフに成就せぬメシアの降臨を待つ大衆の……」



真姫「う、うん?」



海未「2番も見てくださいね!」



真姫「あ〜はいはい、見とく見とく!あっ、添削ね、ゆっくり考えさせて……ゆっくりと……」フラフラ



海未「おやおや二日酔いですか?千鳥足になってますよ」











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凛「ひどいひどすぎるにゃ」



真姫「何をアドバイスしたら良いのか分からなくて、つい受け取っちゃったじゃない……」



花陽「ことりちゃんが作った衣装を着て……この歌詞を歌うの?」



凛「何ていうか……前衛芸術?スクールアイドルというレールを全力で踏み外して大惨事になってるにゃ」



真姫「それにしても海未のあの満面の笑み……!こんな歌詞、全部書き直させたいんだけど、あの笑みを奪うことになると考えるだけで私は……何もできない……」



凛「真姫ちゃん、よしよし、泣かないで……涙の数だけ強くなれるよ」ナデナデ



花陽「うーん、これは由々しき問題だね……海未ちゃんにはやんわりと異議申し立てを行う必要がありそうだよ」



凛「そうだね、あくまでもやんわりと……カッターナイフで水風船を破裂させずに解体するような優しさで……」









海未「〜〜♬作詞はやはり楽しいですね、言葉という秩序を付与することで、むしろ楽曲は私に世界の深淵を覗かせてくれます」



凛「え〜っと、その、う、海未ちゃん、あのね」



海未「凛、どうしました?」



凛「さっきの歌詞、真姫ちゃんに渡したアレ……」



海未「おっ、凛も読みました!?どうでした?ちょっぴり難しかったですか?それでもなるべく平易な言葉にしたつもりですよ、なにせ、私たちはスクールアイドルですからね」



凛「う〜〜ん、凛とかよちんの感想では、スクールアイドルとしてあの歌詞はふさわしくないよ、はっきり言ってゴミ以下だにゃ〜」



凛(しまった、言っちゃいけない言葉リストの方から言葉を選んじゃった!凛のドジ!)



海未「ご、ゴミ以下!?どういうことです!?返答次第では私が泣きますよ!!」



凛「いや〜〜、その、あはは……星空だにゃ!!」



海未「うっ、うっ……」



凛(あっ)



海未「だめですよね、こんなんじゃ……分かりました、書き直します……うっ、うっ」



凛(う〜ん、本当に泣くとは……)







真姫「それで、リベンジってわけ?」



海未「はい!以前のものは忘れてください、私は未熟だったんです、今度こそ上手くやれた自信ありです!」



真姫「まぁ、なんというか、判断は見てからにするわ」ピラッ





『磯の香り』



作曲: 西木野真姫

作詞: 園田海未





磯の香りだプンププン♬



プンプン臭うよプンププン♬



カニさんノリさんナマコさん♬



みんなで楽しく泳ぎましょう♬



波風ふわふわみんなでちゃぷちゃぷ♬



砂浜大好きコケてもへっちゃら♬



前見て歩こう僕らの未来♬



水平線のその先へ!



夕日が沈めば帰りましょう♬



今夜のご飯はイクラです!











海未「とにかく、今回はプリティさを前面に押し出しました!!」



真姫「オゲッ」



海未「大丈夫ですか?生レバーでも食べました?」



真姫「う、う〜ん前よりはマシね、前よりは!確かに、プリティでキュアキュアと言えなくも無いわ(金を積まれれば)!」



海未「ではまた細かいところのチェックを任せますね、ふふふ」



真姫「え、ええ〜〜……」













希「あかん」



絵里「ハラショー!かわいいじゃない」



希「えりち、本気で言ってる?」



絵里「読んでたらす〜〜っと浜辺が頭の中に現れたの……トロピカルな情景……なんだか元気が出てくるわ、早く歌いたいわね〜〜」



希「ええ……」



絵里「あ、早々……イクラってロシア語なのよ!希!」



希「それもう800回聞いた……」



真姫「それじゃあ希、相談があるんだけど……あ、絵里はザクリッチでも食べてて」



絵里「任せなさい」ザクザク



希「はい、何かな?」



真姫「この歌詞の添削をしてほしいの」



希「紙いっぱいにバツ印をつけたいんやけど……」



真姫「ちょっ、もうすこし穏便に……」

希「磯の香りときてプンププンはないやろ……なんか、トロピカルな情景とかえりちは言ってるけど、うちにはおっちゃんたちが浜辺をノソノソ歩いてる東京湾のイメージしか……」



真姫「はぁ、それじゃあまた書き直させるの?……海未のあの自信を砕くのはハッキリ言って心が痛いのよ」



希「いい?真姫ちゃん。友達ってのは友達を肯定するだけが役目とちがうやろ?きちんと正しい道に導いてあげることも役目の一つやとウチは思うんよ、うん、ウチ、ええこと言うやん?」



真姫「なるほどね、それじゃあ不幸にもこんな怪物が生まれてしまったのは私の誘導がマズかったの……?なんだか納得いかないけど……」



希「とにかくちゃんと伝えてあげるのが大事やと思うんよ、この歌詞は残念ですって」ザクザク



真姫「うーん、難しいわね」ザクザク





海未「真姫は厳しいですね……作家などは編集者から猛烈なダメ出しを受けるとは聞きますが……真姫もそれに近いプロ精神を持っているようです」



真姫「プロ精神なんて大したものじゃなくて、常識を持ち合わせてるだけだと思うんだけど……まあ、いいわ、それでバージョン3は出来た?」



海未「はい、ここに。2日の滝浴びの後に清められた精神でイマジネーションを総動員し、5日をかけて書きました。もしこれがボツを食らうなら私はこの世に生まれ落ちたこと自体が神の過ちであったと言わざるを得ません」



真姫「物騒なこと言わないでよ……どれどれ……?」









『地球温暖化 〜クールビズな私たち〜』



作曲: 西木野真姫

作詞: 園田海未







私は地球温暖化が怖い😢



ペンギンさんも震えてる🐧



寒さじゃなくて恐怖から😨



私は地球温暖化が憎い😡



氷が溶けて水位が上がり🌊



色々あって多くの人が困るらしい😖😖



だからスーツを脱ぎ捨てて😇



飾らない自分 地球にプレゼント🎁



LOVE & PEACE❤️



LOVE & EARTH🌍



さあみんなで走り出そう👊



虹のかかるあの星空へ⭐️⭐️











真姫「……は?」



海未「どうですか!どうですか!?」









真姫「ウォゲェェェェェ!!」ビチャビチャビチャ



海未「ああああああっ!!何してるんですか真姫!!」



真姫「これが冷静にいられるわけないでしょうが!!!ぶっ飛ばすわよ!!!」



海未「何がダメなんです!!!可愛らしさの中にきちんと社会問題も取り入れて……」



真姫「あんたの脳みその方がよっぽど温暖化してるわよっ!!冷えなさい!!!冷えなさい!!!」パチーンパチーン



海未「痛いですっ!やめてください!あとゲロを片付けてください!!」



真姫「はぁ、はぁ……」



海未「真姫は分からず屋です!!良いです、私は穂乃果とことりに直接聞いてみます!!そして判断してもらいます!!」



真姫「や、やめなさい、つらい現実を見ることになるわ」



海未「おおおおおおおおっ!」ドドドド



真姫「と、止められなかった……」ガクッ





海未「穂乃果〜〜〜〜!!ことり〜〜〜〜!!」



穂乃果「んみちゃ、どしたの?」



海未「真姫が、真姫がぁ、ゲロを吐いてクールビズな私たちを批判してきて……」



ことり「落ち着くちゅん」



穂乃果「それ、歌詞?あっ、新曲のやつだね!」



海未「そ、そうです、これです!これが痛烈な批判を浴びたんです!はぁ、まったく、可哀想に……」



ことり「それで、どうしたの?」



海未「真姫の意見は最早アテになりません、というわけで、第三者であるあなたたちの意見を聞こうかと思って」



穂乃果「よ〜〜し!つまり、穂乃果が赤ペン先生だね!任せなさいっ!」

穂乃果「ふむふむ、『地球温暖化 〜クールビズな私たち〜』……」



海未「タイトルは2日悩みました」



穂乃果「……」



ことり「……」



海未「どうですか!」



穂乃果「……」



ことり「……」



海未「沈黙ですね!」



穂乃果「……」



ことり「……」



海未「これをどう解釈すればいいでしょうか!」



穂乃果「……」



ことり「……」



海未「あ、ダメみたいですね!」



穂乃果「……」



ことり「……」



海未「あ、もう分かりました、すみません!!読まなくていいです!返してください!!」



ことり「海未ちゃ……」ポロポロ



海未「!?」



ことり「ペンギンさん……かわいそう……地球温暖化が……憎いっ!!」



穂乃果「うっ、うっ……すごい……本当に、海未ちゃんは天才だよ……こんなにも心に響く歌詞を書けるなんて……」ポロポロ



海未「あ、へぇ、良かったですね、それは……はい、まぁ……」

ことり「真姫ちゃんはこれをダメって……?」



海未「はい、それはもう激しく」



穂乃果「おかしいよ!海未ちゃんの才能が潰されるよ、このままじゃ!」



海未「で、ですが真姫だけでなく……私の最近の歌詞を認めてくれるのがあとは絵里くらいしかいなくて……」



穂乃果「……ふむふむ、なるほど……絵里ちゃんはこっち側……」



ことり「大丈夫、人数は足りるよ」



海未「な、なんのつもりですか」



穂乃果「決まってるよ!裁判だよ、裁判!!!」



ことり「争いは法廷に持ち込まなきゃ!!私が弁護するから!!!」



海未「ほ、ほぇ、はい、は、はい……」



穂乃果「準備するね!みんなを部室に集めて!!」



ことり「うん!!やるよ!!」



海未「あわわわ!」



海未「一体、どうなってしまうのでしょうか〜〜〜〜!!??」

にこ「ではこれから園田海未クソ歌詞事件の裁判を開廷します、一同、入場」



にこ「私がサイバンチョを務める矢澤にこです」



にこ「まずは検察側、西木野真姫さん、今回の事件の経緯の説明をお願いします」



真姫「はい、被告人……いや、被告『物』は園田海未の書いた歌詞です」



にこ「歌詞?それが罪を問われるのですか」



真姫「特殊案件です。といっても、被告には発言能力はありませんので、補佐として作詞者である園田海未が立ち会います」



海未「園田海未役の園田海未です、好きな食べ物はほむまん」



にこ「では、改めて事件の概略を」



真姫「はい、それは8月3日から始まる約2週間のこと……園田さんは3日、4日、そして先日17日にかけて相次いでμ'sに対してクソ歌詞を提供しました」



にこ「歌詞の提供者は園田さんです、なぜ彼女を被告として告発しなかったのですか」



真姫「彼女自身には罪はありません、これに対しクソ歌詞は存在自体が罪なのです」



にこ「成る程、取り敢えずそういうことにしておきましょう」



真姫「園田さんは2度にわたるバッシングの後に3作目としてこの『地球温暖化〜クールビズな私たち〜』を提供しました」



にこ「ふむ」



真姫「本法廷におきましてはこの不快かつ残虐極まりない歌詞を『クソ歌詞罪』で起訴するものとします」



にこ「了解しました、弁護側、なにか?」



ことり「弁護側代表、南ことりです、問題ありません!」



にこ「では、次に進みましょう」



にこ「クソ歌詞認定は芸術性の問題と紙一重な部分があり、主観による誤った断定の可能性が懸念されます。検察側はこの歌詞をクソ歌詞と認定するに至った根拠の提示をお願いします」



凛「はい、はい!次は凛の番だよ!」



にこ「弁護側、法廷では法廷に相応しい言葉遣いをするよう努力をお願いします」



凛「……ゴホン。えーっ……クソ歌詞認定の根拠は、部員の総意という形で説明可能かと思われます」



にこ「部員の総意とは」



凛「私、星空凛。そして小泉花陽、西木野真姫、東條希……つまり検察側のこの4人がこの歌詞がクソ歌詞であることを保証するものとします、それが根拠となり得ます」



ことり「異議あり!」



にこ「弁護側の異議申し立てを認めます」



ことり「μ'sは9人です!4人では民主主義的な観点からしても、多数決の上では不十分と言えます!」



にこ「検察側、これに対して何か?」



真姫「星空に代わりまして、西木野です……部員の総意を称するためにら、クソ歌詞認定派が過半数、つまり最低5人が必要であると、仰るようですね」



ことり「その通りです、明らかにそちらには一人足りません」



真姫「白か黒かを断定する必要はありませんよ……二元的な立場からの議論ですねそれは。μ'sメンバーの一人でもある裁判長の矢澤にこさん、あなたの意向はどうでしょうか」



にこ「私は立場上、クソ歌詞認定には中立の立場をとります」



真姫「ありがとうございます」



ことり「しかし、矢澤裁判長を除く8名で多数決をとったとしても4名ではやはり過半数に至りません。不十分です」



真姫「では、ここで証人を召喚しましょう……よろしいですか」



にこ「証人の召喚を認めます」



真姫「では絢瀬絵里さん、証言をお願いします」



ことり(……!絵里ちゃんはこちら側だったはず……!)

絵里「絢瀬絵里です。私も三作目の歌詞については中立の立場をとりたいと思います」



真姫「とのことです、これで中立が矢澤さんと絢瀬さんの2名。残り部員は7名。4名の私たちが多数派となりました」



穂乃果「裁判長!検察側は証人に虚偽の証言を要求した可能性があります!」



にこ「証拠不十分。弁護側の異議を却下します」



穂乃果「むぐぐ……」



絵里「私は……本来、クソ歌詞認定には反対の立場をとっていました。ただしそれは二作目、『磯の香り』においてです。三作目については立場の明言を控えさせて頂きます」



真姫「つまりこれは虚偽ではありません、絢瀬さんは三作目に対しては何もコメントをしていないのです。以上です」



穂乃果「……これでこっちは二年生の三人だけ……」



ことり「どうしよう、穂乃果ちゃん!……部活の運営は最終的に多数決で決定されるのが通例……私たちが少数派であることを覆すのはもう……」



穂乃果(何か……何かないの!?方法がっ!私たちの味方を増やす方法がっ!)

にこ「それでは、ここまでですね……被告物、『地球温暖化〜クールビズな私たち〜』に判決を……」



穂乃果「待ったっっ!!!」



にこ「……何でしょうか」



真姫「弁護側……審議は既に終了しました」



穂乃果「矢澤裁判長……!あなたの意見を聞かせて下さいっ!中立の立場とはいえ、あなたは裁判長……!あなたの良心に基づき、決定を下す義務があるはずですっ!」



真姫「何を今更っ……!クソ歌詞派は過半数を上回りました!これ以上の議論の余地はありません!!」



穂乃果「矢澤裁判長!!お願いします……!この歌詞は、はたしてクソ歌詞ですか……!!あなたの判断次第で……反対と賛成は4対4に……審議は覆るんです!」



真姫「悪足掻きは止めなさいーッ!弁護側ァーーッ!!」



穂乃果「矢澤裁判長ッ!!!ご判断を!!!」







にこ「……ふぅ」



にこ「分かりました」



にこ「私の立場を表明しましょう」



穂乃果「!」



真姫「まさかっ!?」





にこ「この歌詞はクソです。有罪。おわり。」







穂乃果「」



ことり「」



海未「」







にこ「『地球温暖化〜クールビズな私たち〜』には焼身刑を課します、執行は明日の午後1時、音ノ木坂学園の中庭にて。以上、閉廷。」









バタン!

パチパチパチパチ……





私は自ら生み出した歌詞が炎の中その身を崩して行くのを見送りました



黒く染まり、ボロボロと消えて行くその姿を……こうした燃焼がまた新たな二酸化炭素を発生させて地球温暖化を促進しているというのに……



クソ歌詞派も、反対派も皆、揺れ動く炎の尾を冷たい目で見つめていました



なんと不毛な2週間……そしてなんと不毛な裁判であったのかと……



皆、各々が加担した一連の馬鹿げた騒ぎを振り返り激しく反省をしているのでした

海未「パッショネイト……」



にこ「何?なんかいった?」



海未「じんじんあつくもーえる……ハッ!これです!分かりましたっ!」ピューッ



真姫「あっ、どこ行くの!?死刑執行に最後まで立ち会いなさい!」



海未「閃いたんです!歌詞が!今度こそ大丈夫です!!」









海未「海……炎!暑い夏……熱いハート!!そして、切なさ……!!」



海未「マーメイド・フェスタです!!!」

真姫「……で、4作目がこれと」



海未「……どうでしょう?……すっかり、自信を無くしてしまいましたが……」



真姫「……ちゃんと書けるじゃない、なんなの、今までの3作は。ふざけてたわけ?」



海未「ふ、ふざけてなんかありません、ただ少し難解だっただけで……」



花陽「すごいなぁ、海未ちゃん、いい歌詞……」



凛「これなら大丈夫だにゃー!」



海未「やれやれ、あの3作があってこそのこの歌詞ですよ。それをお忘れなきよう」



真姫「いや……絶対あれ関係ないでしょ」



凛「あっ、そうだ!凛も歌詞書いたんだー!ほら!」



真姫「……えっ?」



凛「見て見て見て……」



真姫「うん、まぁ、後でね……」



凛「なんでー!今見てよ!」



真姫「ちょ、ちょっとだけなら……」



凛「……どうかな?」



真姫「……オゲェェェ!!!」ビチャビチャビチャ



希「やーーん!!真姫ちゃーーん!!





にこ「にっこにっこにー♡」







ことり「めでたし♡めでたし♡」







おわり