-自宅-



アスカ「あ〜ぁ、今日も疲れた。もう寝ようっと!」



シンジ「……」



アスカ『シンジのやつ…なんか今日はずっと元気ないわね…。まぁいいや』



シンジ『…母さん……』





-翌朝-





アスカ「シンジ、学校に遅れるわよ。早くしなさいよね」



シンジ「ご、ごめん、今行くよ…」



ミサト「二人ともいってらっしゃーい」



アスカ「行ってきます」



シンジ「いって…きます…」



バタン



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-通学路-



アスカ「」スタスタ



シンジ「」トボトボ…クルッ



アスカ「あらっ、シンジ、どこ行くのよ?方向が違うわよ」



シンジ「あ…うん、ちょっと。今日は僕行くところがあるから」



アスカ「あっそ、勝手にしたら?」



シンジ「」トコトコ



アスカ「」スタスタ…ピタッ…ジー

-墓地-





アスカ『……気になって後をつけてしまった。学校サボってお墓に来るなんて、やっぱりアイツはバカね。うん?…墓標の前で立ち止まった』



アスカ『何か喋ってる…もっと近づいてみるか…』



シンジ「…今日は命日だね…母さん。ごめんね…遅くなって」



アスカ『…………』



シンジ「母さん…母さんは僕のことを見守ってくれているよね。どんな時でも」



シンジ「…僕はもう分からないんだ…。生きていく事の意味が…。僕のことを本当に理解してくれる人なんているのかな?…それがいないなら生きる意味なんてあるのかな?」



アスカ『ッ!』



シンジ「ねぇ、母さん……。教えてよ…。ウッ…ウウッ」ポロポロ



アスカ『…』



シンジ「…本当にバカだよね僕は…。母さんの前でこんなこと。今日はもう少しだけ側にいさせてね…」



アスカ『…』





-6時間後-



ヒューーーーンッ



シンジ「風が強くなってきたな…。もうこんな時間か。母さんそろそろ帰るね。また来るから。じゃあね…」



アスカ『!? こっちに来た…。マ…マズイ。隠れなきゃ…』



シンジ「」スタスタ



アスカ『気付かれてないわね…ハァ…、危ないところだった。……昨日の理由はこれか』

-帰路-





シンジ『結局、学校サボっちゃったな。アスカに何て言おう。いやそんなこと考える必要無いか…。僕のことなんて誰も…』



アスカ「あらシンジ!学校にも来ないでどこ行ってたのよ?」『まあ、アタシも行ってないんだけど』



シンジ「ア…アスカ!!い…いや…あの…その…」



アスカ「ふぅ〜ん。まあいいわ。ちょっとこっちに来なさい」ガシッ 『アタシには教えてくれないんだ…母親の命日のこと』



シンジ「ちょ、ちょっと。そんなに強く腕を掴んだら痛いよ」



-公園-



シンジ「何だよ、こんなところに連れてきて」



アスカ「さぁ、何でかしらね」



シンジ「用が無いならもう帰るよ。夕飯の準備もあるし」



アスカ「待ちなさいよ。伝えたいことがあるの」



シンジ「えっ、アスカが僕に?」



アスカ「そう、アタシがアンタに」



シンジ「…?。!!ア〜そうか。大丈夫だよ、アスカ。今日の夕飯はアスカの好物の…」



アスカ「〜〜〜!!そんな事じゃないわよッッ!!」



シンジ「ビクッ!!」



アスカ「アンタの一番近くにいるのはアタシなの。だから…その…何かあった…たまになら…あげてもいいわよ」ゴニョゴニョ///



シンジ「えっ何。全然聞こえないよ」



ごめんなさい。順番ミスしました。正しくは以下。





-帰路-





シンジ『結局、学校サボっちゃったな。アスカに何て言おう。いやそんなこと考える必要無いか…。僕のことなんて誰も…』



アスカ「あらシンジ!学校にも来ないでどこ行ってたのよ?」『まあ、アタシも行ってないんだけど』



シンジ「ア…アスカ!!い…いや…あの…その…」



アスカ「ふぅ〜ん。まあいいわ。ちょっとこっちに来なさい」ガシッ 『アタシには教えてくれないんだ…母親の命日のこと』



シンジ「ちょ、ちょっと。そんなに強く腕を掴んだら痛いよ」





-公園-





シンジ「何だよ、こんなところに連れてきて」



アスカ「さぁ、何でかしらね」



シンジ「用が無いならもう帰るよ。夕飯の準備もあるし」



アスカ「待ちなさいよ。伝えたいことがあるの」



シンジ「えっ、アスカが僕に?」



アスカ「そう、アタシがアンタに」



シンジ「?。!!ア〜そうか。大丈夫だよ、アスカ。今日の夕飯はアスカの好物の…」



アスカ「〜〜〜!!そんな事じゃないわよッッ!!」



シンジ「ビクッ!!」



アスカ「アンタの一番近くにいるのはアタシなの。だから…その…何かあった…たまになら…あげてもいいわよ」ゴニョゴニョ///

アスカ「だからッッ!!何かあった時はアタシがアンタを守ってあげるって言ってんのッッ!!!」



風『ビュウウウゥゥ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ン」



アスカ『あっ!? 風に流された』



シンジ「???」



アスカ『やっぱり届かなかったか…』



アスカ「…もういい。アタシ先に帰るから」スタスタスタ





シンジ「あ、ちょっと待っ!!何なんだよ、アスカ」



アスカ『本当にバカよ。アンタは本当にバカシンジよ…』スタスタ

自宅-







シンジ「ただいま」



ミサト「おかえり〜シンちゃん。遅かったわね」



アスカ「…」



シンジ「ええ、ちょっと学校で色々あって…」



ミサト「あらそう、大変だったわね。早くご飯食べて寝ちゃいなさい」



シンジ「はい」



シンジ『アスカは…』チラッ



アスカ「…」プイッ



シンジ『また怒らせちゃったみたいだな…』

-翌朝-





アスカ「アタシ用があるから先に学校行くから」



シンジ「えっ、う、うん分かった。気を付けてね」



アスカ「何が気を付けてね、よ。そんな事少しも思ってないくせに」



シンジ「アスカ…どうしてそんな事を」



アスカ「行ってきます」バタン



シンジ「はぁ…そろそろ僕も出なきゃ」



ミサト「シンジ君」



シンジ「何ですか?ミサトさん」



ミサト「あなたは気付いてないかもしれないけど、あなたを理解しようとしている人間が少なくとも二人いるってことは忘れないでね」



シンジ「えっ!?何言ってるんですかミサトさん。あぁ、遅れちゃう。行ってきます。」バタバタ



ミサト「いってらしゃ〜い」



-通学路-





シンジ「ミサトさんが二人目か…。二人もいてくれたんだ…」





-学校・昼-





シンジ「アスカ、はい、お弁当」



アスカ「」バッ



シンジ「そんな奪い取る様にしなくてもいいだろ。あっそうそう、いつも使ってる箸が見当たらなくて、悪いけど今日は代わりに割り箸にしたから」



アスカ「…分かったわよ」



シンジ「それじゃ、僕は用があるから」スタスタ



アスカ「あー、お腹すいた。今日は何かな〜?うん?割り箸の紙に何か書いてある」





『昨日はありがとう』



アスカ「!!」



アスカ「…アイツ、聞こえてたんだ。















気持ち悪い…





































































…………………気持ち悪いわよ…フフッ」♪





-学校の屋上・昼-





シンジ「アスカ…気付いて読んでくれたかな?読んでくれてなかったらどうしよう…怒らせたままになっちゃうな…」



シンジ「!!そっか、だったら直接伝えればいいんだ。…でも恥ずかしくて出来ないや」



シンジ『アスカは、自分の想いを言葉にして僕に伝えてくれた……。僕は紙切れに書いて伝えた…。いや、伝わったかどうかも分からない。…ん?それって失礼なんじゃないか?やっぱり、言葉で直接伝えないなんてアスカに対して失礼だよっ!』



シンジ「よしっ!」



-教室-



ガラガラッ!!!バシンッッ!!!!



シンジ「アスカッッ!!!!」ドシドシドシ



クラス一同「ビクッ!!」



アスカ「なっ何よ。急に大声出しながら入ってきて」ビクビク



シンジ「アスカッ!!今日一緒に帰ろう!!!」



アスカ「ちっ近い、近すぎ、声も大きいし…。一緒に帰るから、ちょっと離れてよ」



シンジ「絶対だよっ!!約束だよっ!!」



クラス一同「クスクスクス…何あれ…コソコソコソ…クスクス」



アスカ『なんのつもりよ…あのバカッたら…』

-放課後-





クラスメートA「やっと終わったぜ。家でゲームやろうぜ」



クラスメートB「おう、やろうやろう。じゃあ、早く帰ろう」



            ・

            ・

            ・



シンジ「ア、アスカ、約束通り…い、いっしょに…か、帰ろう」



アスカ「もう分かったわよ。何なのよあれ、みんなの前で大声出して。積極的になり過ぎよ。頭おかしくなっちゃったんじゃないの?」



アスカ「アハハハ、おかしいのは元々だったよね、ゴメンゴメン」ケタケタ



シンジ「……」



アスカ「?」



シンジ『今までに無い程に緊張してきた…。息苦しい…ヤバイよ…自分から誘っておいてこれはヤバイよ…』ガクガク

-下校途中-





アスカ『何よコイツ…。昼休みはあんなに元気だったのに一緒に帰るとなったら全然喋らないじゃない』ムカムカ



シンジ『何か喋らないと…アスカ苛立ってきてるよ…。…だめだ…きっかけがつかめない…』



アスカ「…」スタスタ



シンジ「…」スタスタ



アスカ「…」スタスタ、ファサファサ



シンジ「ん?」



アスカ「…」ファサファサ



シンジ「あ…アスカ!」



アスカ「ん?あによ?」



シンジ「並んで歩いたから気付いたんだけど、ア、アスカの髪、す、すごくいい香りがするね」



アスカ「はぁ!?アンタも私と同じシャンプーとトリートメント使ってるんだから、アンタの髪からも同じ匂いがするわよ」



シンジ「えっ?そうなの?」



アスカ「鼻もおかしくなっちゃったんだ。もう、バカじゃないの!」



シンジ『また失敗した…』ポタッ…ポタッ…

-5分後-





アスカ『進展無しか…、昨日のこと何か言ってくると思ったんだけどな…』チラッ



シンジ「…」ポタポタ



アスカ「ッ!? ちょ、ちょっとシンジ。顔、顔、汗がすごいわよ」



シンジ「えっ、あぁ、本当だ…ハンカチハンカチ」フキフキ



アスカ「……もしかして緊張してるの?」



シンジ「え、え、あ、うん、そう言われれば否定は出来ないかな」



アスカ「私と並んで歩くだけで、顔中に汗が迸る位に緊張するの?ばっかじゃないの?」



シンジ「…し、仕方無いだろ」



アスカ「そんなんでこれからどうするのよっ!」バシンッ



シンジ『!?何でだ?背中を叩かれたぞ…』



アスカ『意味に気付いたかしら?』



シンジ『ここを逃すとチャンスはもう無い。今しかない!』



シンジ「ア、アスカ…。は、話したいことがあるんだ。そこの公園に来てくれないかな…」

-公園のベンチ-





アスカ「よいしょっと。ふぅ〜疲れた。」



シンジ「あ、あのさ、話したいことっていうのはさ…」ガチガチ



アスカ「あ〜喉かわいた。ねぇシンジ、向こうの自販機で炭酸買ってきてよ」



シンジ「え?…あ、うん。分かったよ。炭酸飲料だね?」



アスカ「そうよ、いってらっしゃーい」



シンジ「」スタスタスタ

-自販機前-





シンジ「炭酸か…。コーラとサイダーがあるぞ。アスカどっちがいいのかな?聞きに戻ると距離があるから時間がかかるし、汗もかいちゃうし…。ん〜〜」



シンジ「そうだ!!両方買っていこう」ピピッ、ガシャン・ピピッ、ガシャン

-公園のベンチ-





シンジ「お待たせアスカ。買ってきたよ」ハァハァ、ボタボタ



シンジ「はいっ、コーラ」ボタボタ



アスカ「……アタシが飲みたいのはコーラはじゃないわよ。炭酸飲料っていえばコーラだなんて思わないで」ツン



シンジ「い、いやぁ、分かってたよ。そう言うと思ってた。じゃ、じゃあ、サ、サイダーをどうぞ」ボタボタ



アスカ「分かってるじゃないの。これよ、これ。いただきます」プシュン・ゴクゴク



シンジ『…サイダーの方だったか。両方買っといて良かった…。じゃあ僕はコーラを…』



アスカ「ぷはあぁ〜。あ〜おいしい」



シンジ「」プシュン・ゴクゴク



アスカ「なかなか良い心がけね、シンジ。アタシが何の炭酸を飲みたいのか分からないから複数買ってくるなんて。下手な鉄砲も数打ちゃ当たるとはこのことね」



シンジ「ウボァ!!」ビチャビチャ 『み、見透かされてたか…』



アスカ「次は一発で当ててきなさいよね」



シンジ「はい、わかりました」ボタボタ 『吐き出したことはノータッチなのか』



アスカ「ところで…」



シンジ「…」

アスカ「緊張は解けた?」



シンジ「い…いや。それが全然。秒単位で緊張が強まってます…」『未だに息苦しいよ…』



アスカ「クスクス。汗でYシャツの下のシャツまで透けて地肌が見えてるものね。もぉ、しょ〜がないわね〜。紙切れ見たわよ。昨日、この公園でアタシが言ったこと、聞こえてたんでしょ。聞こえないフリなんてしちゃってさ、アンタってホントにイヤラシイ奴よね」



シンジ「ご…ごめん。恥ずかしくて。何て答えたらいいのかわからなかったんだ…」



アスカ「そんなの、ありがとう、でいいでしょ」



シンジ「…でも本当に嬉しかったんだ。母さんがいなくなってから、僕はずっと孤独だと思っていたから」



アスカ「…」



シンジ「自分のことを本当に理解してくれる人が存在しないなら、生きていく意味なんて無いと思ってた。僕の事なんて誰も気にかけてくれないとずっと思ってた…今まで実際にそうだったしさ…」



アスカ「…」



シンジ「本当は、昨日さ…母さんの命日だったんだ。それで学校も行かずに…」



アスカ「…」



シンジ「母さんの墓前の前に立っていた時、僕はもう終わってしまってもいいんじゃないかと考えてた。今まで生きてきて、楽しいことよりも辛いことの方がはるかに多かったから、これからも同じだといつも思ってたから」



シンジ「生きていてこの先に何があるのか、僕には不幸せしかないと思ってた。自分が切望しても得られないものを他人は容易く手に入れる…そんな世界に生き続けるならいっそ消えたかった」



アスカ「…」



シンジ「でもさ…その後、アスカに出逢って気付けたんだ。生きていれば、完全では無いけど自分を理解してくれる人は現れるということと、近すぎて見えないだけで自分のすぐ側に味方がいるってことにさ」



シンジ「あの時、アスカが答えを教えてくれたんだ」



アスカ「…全部アタシのおかげってことよね」



シンジ「ほとんどはね…。ところでさ、何であの時、僕を守るって言ってくれたの?」



アスカ「…自分より劣る人間が懸命に苦悩する姿を見て、慈悲をかけたってとこかしらね」



シンジ「?」



アスカ「要するに、同情してあげたってことよ」



シンジ「そっか、フフフッ」



アスカ「何が可笑しいのよ?」



シンジ「いや、何でもないよ」



アスカ「……アンタもアタシもさ、14歳にして既に母親を亡くしてるわけじゃない。周りにはそんな子ほとんどいないでしょ?だから他の人よりもアンタの気持ちが分かるっていうか…」



アスカ「それにさ、アタシ達って共通する点があるでしょ。この年で一緒に暮らしてるとかさ…。普通じゃありえない事よ」



シンジ「そうだね…」



アスカ「だから自分を重ねるっていうかさ…」



シンジ「…」



アスカ「でも勘違いするんじゃないわよ!共通点があるって言っても、アタシとアンタは同じじゃないの。アンタはアタシよりも遥かに劣る人間で、アタシの引立て役なの。分かった?」



シンジ「最後の部分は余計だったけど、よく分かったよ」



シンジ「ありがとう、アスカ。実は、話したいことっていうのはこれだったんだ」



アスカ「そんなの初めから分かってたわよ」



アスカ「まずあり得ないことなんだけど…。もしもアタシがピンチの時にはさ…」



シンジ「もちろん僕が助けに行くよ。必ず僕が守る」



アスカ「まあ、男らしい。頼りになんか少しもしてないけど、頼りにしてるわ」



シンジ「何だよそれ」



アスカ「フフフ、な〜にが、僕が助ける・僕が守る、よ。こんな汗だくの気持ち悪い男になんて守られたくなんかないわよ」クスクス



シンジ「アハハハハ、汗のことなんてすっかり忘れてたよ。それもそうだよね、アハハハハ」



アスカ「アタシがいつもアンタを助けてる姿が目に浮かぶわよ」クスクスクス



アスカ「ッ!?」











アスカ『ハハ…今気付いた…助けられてるのはアタシの方じゃない…。楽しかった思い出にはいつもシンジが笑っていて…』







アスカ「さあーて、そろそろ帰るわよシンジ」



シンジ「あっ、もうこんな時間か。アスカがベラベラ喋ってたから」



アスカ「何言ってんのよ、アンタの方が自分語りしてたじゃないの!!あの時、いつまで喋るんだろうと心の中でずっと思ってたわよ」



シンジ「ひどいや…ひどいよアスカ…」



アスカ「早く帰らないとミサトに怒られるわよ。キャッ!!汗まみれの体で近寄ってこないでよ」ダッダッダ



シンジ「あぁ、待ってよアスカ、コーラの代金120万円返してよ」ダッダッダ



アスカ「しけた男ねえ、レディにジュース代を要求するなんて。それにアタシが飲んだのはコーラじゃなくてサイダーよっ!!バカシンジッ!!」



シンジ『突っ込みどころ間違えてるよ…』