岡部「それが! この最新未来ガジェット。スタンドリモコンだっ!」



ダル「……」



まゆり「う〜ん」



まゆり「あのね、オカリン。まゆしぃにはこれはリモコンにしか見えないのです」



ダル「僕もだお。それにリモコンはリモートコントローラーとしてスタンドって何ぞ?」



岡部「フーッハッハッハッハ、よかろう。説明してやる」



SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1378379759



岡部「まず、ダルの言うスタンドだが、これは俺の作り出した守護霊のようなものだ。そしてっ! 六体のスタンドが操るののが時間」



ダル「オカリンが作り出したなら僕が知ってるわけねーじゃん。で、それで時間を操作するってわけ?」



岡部「そうだ、一つずつ紹介していこう」



まゆり「ん? ん? ま、まゆしぃにはさっぱりなのですぅ〜」

岡部「まず、この五つのボタンを見ろ」



まゆり「えっと、再生、巻き戻し、早送り、一時停止、スキップだね」



ダル「で、これがどしたん?」



岡部「この再生ボタン以外には全てスタンドが宿っている」



ダル「つー設定ね」



岡部「設定ではない! 巻き戻しのキラー・クイーン・バイツァ・ダスト。早送りのメイド・イン・ヘブン。一時停止のザ・ワールド。スキップのキング・クリムゾン」



ダル「凝りすぎだろぉ! 胡散くせえ」



岡部「うるさぁい! それならばこのスタンドリモコンの真髄を見せてやろうではないか」

岡部「ではダァルよ。どれがいいか。選べ」



ダル「じゃあ、スキップで」



岡部「それでは三分程スキップするぞ。今の時間は午後六時十二分」



ダル「つまり僕が気づくと十五分になってるってことか」



岡部「そうだ。では行くぞ。キング・クリムゾン!」



ダル「……!?」



まゆり「……!?」



岡部「いいぞ、使用者は効果が現れないこともいい。さて三分経つ前に何か分かることをしておこう」



〜三分後〜



ダル「はっ!」



まゆり「ん」



岡部「どうだ? ダル、まゆり。少しは信じたか?」



ダル「と、時計は!?」



ダル「五時十五分。ほんとに僕は時間をスキップしたのかお!?」



岡部「その通りだ」



まゆり「す、すご〜い!」



岡部「フッフッフ、これが鳳凰院凶真の力だ」



ダル「お、オカリン。いつの間にこんな天才に!?」

岡部「そしてダルたちが固まっている間にクリティーナのプリンを食べておいた」



ダル「え、それってまずくね?」



岡部「味は美味だったが、このままでは非常にまずい。ここで巻き戻しの出番だ」



ダル「キラー・クイーンなんとかだっけ?」



岡部「キラー・クイーン・バイツァ・ダストだ!」



岡部「これで五分前に時を戻す」ポチ



〜五分前〜



まゆり「ぷ、プリンが戻ってる〜」



ダル「て、天才だお。ここに天才が現れた」



岡部「まあ、時間を戻すわけだからプリンを食べたということはなくなるが、このままではまた俺はプリンを食べる運命にあるから後で止めてくれ」



岡部「これで二つ見せたが。どうだ? もう信じないわけにはいかないだろう?」



ダル「てかさ、こんなエジソンもぶっちぎりの成績で大学出るみたいな天才発明したん?」

岡部「それが運命だからだ」



ダル「は?」



岡部「俺には使命がある。だから俺はこのスタンドリモコンを作った」



まゆり「ん〜」ポチ



岡部「ま、まゆり!?」



まゆり「あれ〜? 動かないよ〜?」



岡部「(実は、この五つのボタンのところ開けたところにある1〜9のボタンとH、M、Sのどれかのボタンを押さなければ反応しないようになっている。教えてなくてよかった)」



岡部「どうした、まゆりも時間跳躍したいのか?」



まゆり「うん〜。だってぇ一つのプリンを何回でも食べれるってことでしょ?」



岡部「まぁ間違ってはいないが」



まゆり「じゃあこのジューシー唐揚げナンバーワンをレンジに入れて〜」



まゆり「オカリン。一分スキップして〜」



岡部「おう」ポチポチ



〜一分後〜



チン!



まゆり「おお〜! あっという間だよ〜」

まゆり「そしてこれを食べます」モグモグ



まゆり「オカリン」



岡部「……」ポチポチ



〜二分前〜



まゆり「おお〜、ジューシー唐揚げナンバーワンがふっか〜つ!」



ダル「無限ループってヤバくね?」



岡部「実際、まゆりの食べた唐揚げは巻き戻すたびに消えているが食べたという経験は受け継がれる。全く自分の神をも凌ぐ頭脳に恐れを抱くばかりだ」



ダル「てかさ、これ時差ボケおこるんじゃね?」



岡部「まぁ大きく時間を飛びすぎればするとは思うがそこまで影響はないだろう」

岡部「そろそろ、遊ぶのもやめるか」



ダル「じゃあさ、皆を呼んで披露すればいんじゃね?」



岡部「うむ、そうだな。フェイリス、ルカ子、閃光の指圧師とクリスティーナを呼ぶ」ポチポチ



岡部「キング・クリムゾン!」



〜30分後〜



紅莉栖「で、岡部の天才発明って何なの?」



るか「たしか、時間を操る……とか」



萌郁「……!?」ポチポチ



岡部「そう、焦るな。指圧師よ」



まゆり「それではお見せしましょう!」



ダル「ここにまゆ氏の買ってきたジューシー唐揚げナンバーワンがあります。それをまゆ氏が食べます」



まゆり「美味しい〜」モグモグ



ダル「はい、なくなりました」



岡部「ここで、この新ガジェット、スタンドリモコンの出番だ」

紅莉栖「はぁ? それただのリモコンじゃない」



るか「そう、ですよね」



フェイリス「何を言ってるニャ。凶真は時間を超えた神に等しい存在になったのニャ!」



岡部「フェイリスはよくわかっている。ではしかと見るがいい。クリスティーーナッにルカ子よ。これが俺の発明だ!」ポチポチ



岡部「バイツァ・ダスト!」



紅莉栖「こ、これは!?」



るか「え」



萌郁「……!?」ポチポチ

〜三分前〜



紅莉栖「そ、そんな」



るか「か、唐揚げが」



フェイリス「全部戻ってるニャ」



岡部「ふ、時計を見てみろ」



紅莉栖「嘘、でしょ」チラ



フェイリス「凶真、すごいニャ。ほんとに神様だニャ!」



岡部「フーッハッハッハッハ!! どうだ、これが鳳凰院凶真の頭脳だ」



岡部「誰か、神になってみるか?」



紅莉栖「はい!! はい。私がやるわ」

岡部「助手か。まぁよかろう。ほれ」



紅莉栖「助手ゆーな。で、どうすればいいの?」



岡部「まず、ここを開けて時間を選択する」ズイッ



紅莉栖「ちょ、近いわよ///」



岡部「ぬぅ、次に秒ならS、分ならM、時間ならHを押せ」



紅莉栖「ふむ」ポチ



岡部「最後に何をするか決めてボタンを押す」



紅莉栖「よぅし! ザ・ワールド!!」ポチ

紅莉栖「ふっふっふ、これで一時間皆の時は止まる。何でもし放題!」



紅莉栖「まずは、この忌々しい駄肉をぉ!」



紅莉栖「なんぞこれ! なんぞこれ!」



紅莉栖「やらけぇ……」



紅莉栖「……ふぅ。次は何しようかな」



紅莉栖「まぁ時間はあるし、ドクペでも飲みましょ」



紅莉栖「あと三十分か。やることもないしもう再生しよ」ポチ

紅莉栖「そして時は動き出す」



岡部「はっ!?」



岡部「なるほど、時計が進んでいないということはザ・ワールドを使ったのだな? 助手よ」



紅莉栖「ええ、そうよ。確かにこのリモコンの性能は認めるわ。私以外の時は止まり私が触れる以外では動かなくなった」



萌郁「(何だか胸を揉まれた気が)」



岡部「まぁいい。これで三つの効果が実証され、残りはメイド・イン・ヘブンのみ。この効果は皆で体感することができる」



ダル「どゆこと? 今までも時間が飛んだり戻ったりしたの分かってるお?」



岡部「このメイド・イン・ヘブンは少し特殊でな。自分の時だけを早送りにするんだ。つまりこれを使えば俺はトラックに轢かれそうな猫を命を落とさずとも華麗に救いだすことができる」



ダル「つーことは、僕たちの時間は変わらないん?」



岡部「体感時間はそうだが、実際の時間はそれよりも速いスピードで進んでいる」



まゆり「ど、どういうこと〜?」



るか「えっと、唐揚げをチンする時間が短くなるって感じじゃないかな」



まゆり「ほんとに〜? でも、それってスキップと何が違うの?」

岡部「キング・クリムゾンとメイド・イン・ヘブンの違いは過程を無くすか、あるままにするかの違いだ」



まゆり「え、えっと……」



岡部「例えばこのままではまゆりがこけてしまって怪我したとしよう。これをメイド・イン・ヘブンで飛ばした場合、まゆりは普通にこけて怪我をしたことになる。しかしキング・クリムゾンで飛ばした場合、まゆりは何もしていないのに怪我をしていることになる。つまりキング・クリムゾンは結果のみを残す」



まゆり「へぇ〜」



岡部「ではやるぞ。これからメイド・イン・ヘブンを使うぞ」ポチポチ



岡部「……入ったか」

岡部「皆、口をパクパクさせているが何を言っているかさっぱりわからん」



岡部「おっと、もう三分が経過してしまった。再生だ」



紅莉栖「何よ。今の。急に体が重くなって動かなくなって」



岡部「今、三分だけ時を加速させたが、加速させすぎると世界が一巡し世界線を超えることができる。まぁそこまではやっていないが」



岡部「さて、これで全てのスタンドを使い終えたな」



ダル「ちょっと待ったァ!」



ダル「オカリン最初、六体のスタンドって言ってたよな。どういうこと? まだ四体だお」

岡部「ぬ、そんなところまで聞いていたか。ならば仕方がない。五体目のスタンドは電源ボタンに隠されている」



ダル「能力は?」



岡部「これはタイムリープマシンのデメリットを無くしたものだ」



ダル「スタンド名は?」



岡部「Dirty deeds done dirt cheap D4C」



ダル「牧瀬氏」



紅莉栖「いともたやすく行われるえげつない行為。てか私はお前の翻訳機ではないのだが」



ダル「ふひひ、サーセン」



紅莉栖「で、それは具体的にどういう能力なわけ?」



岡部「さっき言った通りタイムリープマシンのデメリットを無くしたものだが、これは違う世界線の自分をこの世界戦に連れてくることが出来る」



紅莉栖「そ、そんな馬鹿なことができるわけないでしょ。同じ世界に同じ人間が複数人存在するなんて」



ダル「そうだお。それなら十人の僕を呼び出してこれからの人生を僕自身と相談したいお」



岡部「……やってみるか?」

紅莉栖「ちょっと、岡部! 本気なの!?」



岡部「俺はこの発明に絶対の自信がある。D4Cの時空移動が失敗する可能性はゼロに等しい」



ダル「やめとけってオカリン」



まゆり「え〜、まゆしぃはオカリンが増えるの見てみたいよ?」



フェイリス「確かに凶真が増えればフェイリスは万々歳ニャけれど」



るか「……失敗する可能性があると思うと」



萌郁「……」



岡部「皆がやらない方がいいというなら俺はやらん」



岡部「D4Cは飛ばして最後のスタンドを紹介しよう」



岡部「……ハーミット・パープル」

岡部「お前たち、今俺の手の平に何が見える?」



紅莉栖「何って、何もないわよ」



ダル「右に同じ」



るか「僕にも何も」



萌郁「……うん」



フェイリス「フェイリスには見えるニャ! その手の平には勇者の剣があるニャ!」



岡部「残念ながら勇者の剣ではない。まゆりはどうだ?」



まゆり「う〜ん、イバラが生えてる……よね?」



岡部「まゆり、お前見えるのか!?」

岡部「確かに俺の手にはイバラが生えている」



紅莉栖「そのイバラはいいとして、それは時間をどう操るの?」



岡部「正確にはこのスタンド自体は時間を操るものではない」



ダル「じゃ、意味なくね?」



岡部「ハーミット・パープルはスタンドリモコンを作るきっかけとなったものだ」



岡部「リモコンと併用することで効果を発揮する」



紅莉栖「じゃあやって見せて」



岡部「よかろう。まずハーミット・パープルは携帯やカメラなどのビジョンに対象の現在を映し出す能力を持つ。しかし、これを使うにはその者の媒介が必要となる。まぁラボメンの皆なら可能だが、他の一般人なら難しいだろう」



岡部「そこでスタンドリモコンの出番だ」



紅莉栖「なるほど、時間を巻戻してその人と接触するってわけね。でも位置情報なんてどうすればいいのよ」



岡部「人は微量の電磁波を放出しているというだろう。俺はハーミット・パープルを出している時だけ電線に触れることで映し出されている人の位置情報をつかむことが出来る。ちなみに既にまゆりで実証済みだ」



まゆり「え〜? 全然気がつかなかったけど〜」





岡部「まぁ言ってないからな」



まゆり「もぅオカリンひどいよ〜。私だって怒っちゃうんだから〜」



岡部「すまんな。まゆり」



岡部「絶対にお前は俺が守るから」ボソ



まゆり「ん〜? 何か言った? オカリン」



岡部「いや、何も」



ダル「で、これでほんとに全部なん?」



岡部「ああ、これで終わりだ」



紅莉栖「でも想像以上の発明だったわね。それに科学的に証明できないスタンドとかわけがわからないし」



岡部「確かにスタンドが見えない人からすれば分からないだろう」



紅莉栖「でも実際にそのリモコンに能力はあったわけだし、一概に否定するのも」



ダル「さっき運命だからって言ってたけどほんとに何でこんなん作ったん?」



岡部「別に話しても構わないが、後悔するなよ」



岡部「パソコンにハーミット・パープルで俺の記憶を映す。それを見れば分かる」

岡部「ただし、まゆりは絶対に見るな」



まゆり「え〜、何で?」



岡部「何ででもだ。俺と一緒に遊んでいよう」



まゆり「オカリンと遊ぶならいいけどー」



岡部「では、皆、パソコンの前に集まれ」



岡部「キング・クリムゾン!」



〜二十秒後〜



岡部「集まったな。それでは簡単な映像にして映す。気分が悪くなったら言え」



ダル「分かったお」



岡部「では再生するぞ」

紅莉栖「こ、これは何なの」



ダル「いや、これってまゆ氏……っしょ」



フェイリス「そ、そんな嫌ニャ。まゆしぃが」



るか「うっ、僕外に行ってきます」



萌郁「……私も」ポチポチ



紅莉栖「誰!? 一体誰なの。まゆりを、まゆりを……」



ダル「それはわからんお。でもオカリンがこれを体験して多分タイムリープマシンを使ってここにいるっつーことっしょ」



紅莉栖「それで、スタンドリモコンを作った……」



ダル「うん」



留未穂「私も外に出てきます」



岡部「フェイリス、いや、耳が外れているということは留未穂か。留未穂、ルカ子とまゆり、指圧師を連れて三十分程外へ出かけてくれないか?」



留未穂「え、いいですけど」



岡部「頼むぞ」

岡部「三人になったところで話をはじめよう」



ダル「何で、三人にする必要があるん?」



岡部「これからする話は俺が最も信頼の置ける者にのみしておかなければならない。だがラボメンのことを信用していないわけではないぞ」



紅莉栖「で、さっきの映像だけど」



岡部「ああ、まずまゆりに見せなかった理由はわかるだろうが、まゆりが死ぬシーンがあるからだ。あれは今から三日後、八月十三日に必ず起こる。俺はそれを何十回と繰り返してきた」



ダル「でも、まゆ氏は」



岡部「ああ、救えなかった」



岡部「だから俺はまゆりを救う。必ず」



ダル「でもさ、スタンドリモコンはオカリン自身が作ったとしてもそのヒントとか無かったん?」



紅莉栖「それは私も気になってたわ。今までの厨二具合を変えてスタンドとか実際に能力のあるものを従えて来るなんて何かあるんでしょ?」



岡部「ああ、俺がまゆりを救えず生きる意味を見失っていた時、ブラウン管工房のベンチに座っていた俺に一人の大柄の老人が俺に近づいてきてこう言ったんだ」



岡部『相手が勝ち誇った時、そいつは既に敗北している』



紅莉栖「それで、あんたは既に敗北した運命に勝とうとしてるわけね」



岡部「そうだ、俺は彼の言ったことは生涯忘れない! 俺はこのスタンドリモコンで運命に勝利する」



ダル「で、その老人の名前は?」



岡部「わからん。彼はそれだけ言うと去っていってしまったからな」

紅莉栖「そのご老人はいいとして、あんた、本気で運命を超える気なのよね?」



岡部「無論だ。俺はアトラクタフィールドを超え、まゆりも助手も生きる平和な世を作り上げる」



紅莉栖「え、私が生きるって?」



岡部「俺は一度、D4Cを使って違う世界線に行ったことがある。その世界線ではまゆりは死なず、その代わりとしてか助手、貴様が死を迎える」



紅莉栖「それじゃあ、どちらの世界線でも誰かが死ぬってこと?」



岡部「ああ、だが、俺はこの世界線で運命を超える理由はもう一つある」



岡部「俺はこの世界で起きたことを無かったことにはしたくないんだ」



岡部「まゆりがいて、ダルがいて、助手がいて、ルカ子、フェイリス、萌郁がいて、そして過去へ行ったバイト戦士がいる。さらに一階にはミスターブラウンとシスターブラウンがいる」



岡部「俺はこの日常を壊したくはない」



紅莉栖「……岡部」



岡部「だが、違う世界線へ行けば、この世界線で起きたことはすべて無くなり、紅莉栖、俺とお前は知り合いですらなくなる」



岡部「とても自分勝手だ。だが、俺はやらなければならない。誰も成し遂げたことのない魔法を、アトラクタフィールドの破壊を」



ダル「ちょ、待てよ。オカリン!」



ダル「たしかにオカリンはそれでいいかもしれんけど、僕たちはオカリンがいなくなったら困るのだぜ!?」



ダル「それにオカリン、リスク高杉っつーか」



岡部「何を心配している。マイフェイバリットライトアームよ。俺は狂気のマッドサイエンティスト。鳳凰院凶真だぞ? 世界を支配する時まで俺は死なん」



ダル「でも……」



岡部「俺は必ず、まゆりを救いこの俺達の世界に帰還する。これがラグナロクだ」



岡部「では、また三日後に会おう」



岡部「キング・クリムゾン!」



〜三日後〜



岡部「もう三日か。決戦は今日。萌郁がここを攻めてくることは間違いない。目的はスタンドリモコンの奪取。あれだけ見せつければ十分だろう」



岡部「そしてあとはどうやってまゆりを死から逃がすか」



紅莉栖「何ウジウジしてんのよ。あんた一人ですべてを背負い込む気?」



ダル「僕らのことも少しは信用しろっつーか。それがラボメンってやつだろ常考」



岡部「なっ、お前たち。何しに来た。ここは危ないとわかっているだろう」



ダル「死ぬなら一緒なのだぜ、オカリン」



紅莉栖「あんた一人に任せておくには心配なのよ」



紅莉栖「一瞬で三日経っちゃったから私達にできることはあまりないでしょうけど。まゆりを救いたいのは私たちも同じよ」



ダル「まゆ氏がいないと僕のモチベーションも上がんないわけで」

岡部「全く、そう来ると思っていた。流石は我がラボメンだ!」



紅莉栖「え、ど、どういうこと?」



岡部「俺はこの三日間、お前たち用のスタンドリモコンを用意していた」



岡部「助手にはこれを」つ拳銃



岡部「ダル、スーパーハッカーの力を見せつけろ」つドル紙幣、千円札



ダル「え、お金?」



岡部「違う、それにはお前用のスタンドが宿っている」



岡部「助手のも同じだ。その拳銃はエアガンだがスタンドを使うことで本物の拳銃となんら変わりはない」



紅莉栖「ちょ、岡部。あんた私に何てもん持たせんのよ!」

岡部「確かにお前たちにはスタンドを視認することはできない。だが、使役することはできる」



紅莉栖「私のはどんなスタンドなの?」



岡部「そのエアガンから撃ち出した球を遠隔操作する能力だ」



紅莉栖「何か、ピンと来ないわね」



岡部「ならば、見せてやろう。セックス・ピストルズの恐ろしさを」ペタペタ



紅莉栖「なにをするつもり?」



岡部「壁に貼った紙のど真ん中に球を当てて見せよう」



ダル「完全に銃口を壁につけてあてるパターンです。ありがとうございますた」



岡部「いや? 俺が撃つ方向はこっちだ」カチャ



ダル「……そっちは玄関だお?」



紅莉栖「本当に大丈夫なのかしら?」



岡部「頼むぞ、ピストルズ」パァン



ダル「ちょ、おおおお!?」



紅莉栖「弾丸が反射する様に紙の方へ……」



岡部「これが助手、お前の持つスタンドの力だ。見ろ。寸分狂わずど真ん中だ」



ダル「お、オカリン、オカリン。僕のは!?」



岡部「ええい、うるさい。ちゃんと説明してやるから!」



ダル「盛り上がってまいりましたーー!!」

ダル「ねえねえ、僕のも牧瀬氏みたいなすんごい能力なん?」



岡部「ああ恐ろしい能力だ」



ダル「もぅ焦らさないでぇ!」



岡部「ダルのスタンドはザ・ハンド」



ダル「ほう」



岡部「ダル、お前の肩書きはなんだ?」



ダル「スーパーハッカーです!」



岡部「違ぁあああう!! マイフェイバリットライトアームだ」



ダル「それがどしたん?」



岡部「聞いて驚くな。このスタンドは右手で触れたものを消し去るという能力を持っている」



ダル「なんだってー!? て、おいおいそりゃぶっ飛びすぎだろ常考ぅ!」



岡部「貨幣を貸せ」



ダル「ほい」ポン



岡部「全く、人の話を信用しないやつらだな! ていっ」ガオン



ダル「おお! さっきの紙が無くなったお」



岡部「これでいいか?」



ダル「流石オカリン。俺たちに出来ないことを平然とやってのける。そこにシビれる、憧れるぅ!」

ガチャ



るか「岡部さん! 僕たちにも何か手伝わせてください!」



フェイリス「そうだニャ。このまままゆしぃに何もしてやれないなんて嫌ニャ!」



岡部「ルカ子、フェイリス。もちろん、お前たちの分もある。ちょっと待っていろ!」



岡部「さぁ、ルカ子、これを」つシール



岡部「フェイリス、今こそ力を見せる時だ」つ毛玉



岡部「さっき、ダル達にも言ったがお前たちにスタンドを視認することはできない。だが使役は出来る。俺が力を見せる。だから俺を信じてくれ」



るか「はい!」



フェイリス「わかったニャ」



岡部「では、ルカ子のキッスから見せる」

岡部「このキッスはシール貼ることでその部分を二つに増やすことができる」ペタ



岡部「このように俺の腕に貼れば、腕は二つになる」



岡部「だが、これをはがすと」ベリ



岡部「っぐ! 破壊が生まれる」ポチ



岡部「まぁ時間を戻せば関係のないことだが」



岡部「ルカ子よ。この能力は使い勝手がいいようで悪いようで、難しいものだ。うまく使いこなせよ」



るか「はい、頑張ります」



岡部「では、フェイリスのストレイ・キャットを見せよう」



フェイリス「ニャニャ!? フェイリスのスタンドは猫なのかニャ!?」



岡部「まぁそうとも言える」



岡部「ストレイ・キャットは空気を操る。真空状態を作り出したり、空気の防御壁を貼ったり」



岡部「フェイリス、俺を殴ってみろ」



フェイリス「ニャ!? そんなこと出来ないニャン」



岡部「いいから」



フェイリス「ニャ〜、分かったニャ。猫パンチだニャ」



岡部「俺は空気壁を貼ることで猫パンチのダメージをゼロにできる」ポヨン



フェイリス「あらニャ! 押し返されちゃったニャ」

岡部「これで、全員にスタンドアイテムが行き渡ったな。これで必ずまゆりを救うぞ!」



皆「おーー!」



るか「でも、桐生さんは?」



岡部「ああ、彼女のことはいずれ分かる」



ガチャ



まゆり「トゥットゥルー! まゆしぃです」



岡部「お、来たな。まゆり」



岡部「では、皆配置に着け」



まゆり「え〜? 皆どうしたの?」



るか「まゆりちゃんは僕が絶対守るからね」



まゆり「なんだがよく分からないけどよろしくね、るかくん」



フェイリス「フェイリスだってまゆしぃを守るのニャ」



紅莉栖「私も大事な友達を守って見せる」



ダル「まゆ氏は僕の青春なんだお。絶対に汚させやしないのだぜ」



岡部「まゆり、俺はここで運命と決着をつける。その先でまた会おう」



岡部「行くぞ! キング・クリムゾン! 三時間後へ」



〜三時間後〜



岡部「ハーミット・パープル」



岡部「指圧師が現在こちらに向かっている。残り一分で着く。皆、戦闘態勢を取れ!」



るか「あの、桐生さんは?」



岡部「彼女はCERNからのスパイ。俺達の敵だ。そしてミスターブラウンも」



紅莉栖「なんていうタイミングでカミングアウトしてんのよ」



岡部「悪い、だが、心を決めてくれ」



ガチャ

萌郁「スタンドリモコンはCERNが回収するぅ!?」



岡部「各員、先頭に入れ! ハーミット・パープル!」



紅莉栖「いっけー、セックス・ピストルズ! 畳み掛けろォォォォォ!!」



ダル「パワーを手に入れた僕に敵はなし。考えるなんてめんどくさいのだぜぇ。ザ・ハンドぉ!」ガオン



るか「これもこれもこれも! 全部貴方達に返します。だからまゆりちゃんは奪わないで!」ベリベリ



モブ「ぎゃあああああああああああ!!」



萌郁「そ、そんな……くっ」バンバンバン



岡部「なっ、まゆり!?」



フェイリス「大丈夫だニャ」ポヨポヨポヨン



岡部「あとはお前一人だ。指圧師、いや、桐生萌郁」



萌郁「FBFBFBFBFBFBFBFBFBFBFBFB」



岡部「そんなにFBが大事か。ミスターブラウンが」



萌郁「!?」



岡部「そういえば、お前は知らないのだったなぁ。FBはこの下に住む男、天王寺裕吾だ」



萌郁「そ、それは嘘……FBは……FBは」



岡部「事実だ。それでもFBにつくか?」



萌郁「……」カチャ



岡部「そうか、もしお前を救い、FBも救えると分かってもか」



萌郁「!?」

萌郁「それは……本当?」



岡部「本当だ。九十九%救うことできる。了承しこの場を退き、今まで通りに生きるのならばお前にスタンドを与えて共にミスターブラウンを救いたいと思っている」



萌郁「戻りたい……皆と楽しい生活に戻りたい!」



岡部「それだけ声が出せれば大丈夫だ。まあ念のために銃は預からせてもらう」



萌郁「あ……」



岡部「よし、これでまゆりを救うことはできた。次は何が起こる?」



ヒュウウウウウウウウウ



岡部「なるほど飛行機を墜落させるとはいかにも数奇的な運命らしい」



岡部「だが、今の鳳凰院凶真の敵ではなぁい!!」



岡部「D4C!!」ハクイバサッ



岡部「向こうの世界で爆発するがいい」



岡部「フゥーーハッハッハッハ。このマッドサイエンティスト、鳳凰院凶真に敵は無い!」

紅莉栖「岡部! 次はビルが倒壊を始めたわ!」



岡部「ふん、その程度、蚊ほどにもないわ!」



岡部「ザ・ワールド! 時よ止まれい!」



岡部「このうちに皆を外へ運び出す」



岡部「よし、再生だ」



ダル「おお、大檜山ビルが!?」



るか「お、凶真さん! 車が凄い勢いで突っ込んできます!」



ダル「僕に任せるんだお!」ガオン



岡部「ほぉ、車を真ん中から全て削り取るとはやるではないか。ダルよ」



ダル「まぁこんくらいは朝飯前ですしおすし」



フェイリス「凶真! 次は火事だニャ。凄い勢いニャ! でもここは任せるニャ。皆、息を止めるのニャ」



フェイリス「ストレイ・キャットの力を見せてやるニャ!」



岡部「……」



岡部「ぷはっ、なるほど、真空空間を作ることで火を消したか。よくやったフェイリス」



ダル「あ、露出狂だ!」



るか「シールで増やす! 邪魔です。どこかへ消えてください!」ボコッ



岡部「何だったんだ、今のは。まぁいい」



まゆり「皆、すごいねえ」



岡部「ああ、皆、俺の頼れる仲間だ」



八月十四日 0時00分 アトラクタフィールド破壊



岡部「八月十四日、0時00分。まゆりは」



まゆり「ん〜? どうしたのオカリン?」



岡部「生きて、生きて! 生きている!」



紅莉栖「やったわね」



ダル「まぁ今回はほぼオカリンの活躍っしょ。スタンドアイテムなかったら無理だったし」



るか「まゆりちゃん!」



フェイリス「マユシィ!!」



まゆり「うわー、皆どうしたの〜。泣かないでよー」



岡部「よし! 今日は祝杯だ! ミスターブラウン、シスターブラウンも呼んで皆でパーティーだ」



岡部「と、その前に俺はミスターブラウンと話をつけてこよう」

岡部「いや、よくよく考えればもう0時。朝に話をしよう」



岡部「キング・クリムゾン!」



〜8時間後〜



岡部「さぁ、ミスターブラウンと決戦だ」



岡部「ミスターブラウン、ミスターブラウンはいるか?」



天王寺「何だ? こんな朝っぱらから。昨日は二回が騒がしかったからその謝罪にでも来たか?」



岡部「とても大事な話がある。貴方にも、そしてシスターブラウンにも関わる」



天王寺「てめえ。何を嗅ぎつけやがった」



岡部「済まないが上がってもいいだろうか」



天王寺「おう、茶くらいは出すぜ」



岡部「……単刀直入に言おう。俺は貴方が桐生萌郁を操っていたFBだということを知っている」



天王寺「そうか」



岡部「だから、俺は貴方を救いたい」



天王寺「なんだと!? そんなこたぁ無理だ。誰も奴らからは逃げられねえ。俺だって今すぐにでもこんなことから足を洗いたいと思ってんだ!!」



岡部「これは夢物語でも何でもない。俺が話しているのは実行し実現することが可能な話です。貴方にはスタンドを使う素質があるようだ。今、私の手に生えているものが見えますね?」



天王寺「イバラ、聞いたことぐらいはあるぜ。ハーミット・パープルだろ」



岡部「よくご存知だ。このようなスタンドの能力を我がラボメンはまゆり、桐生萌郁を抜いて全員が所持しています」



天王寺「なるほど、そりゃ勝てねえわ。で、どうやって俺を救ってくれんだ?」



岡部「まず、ミスターブラウン。貴方にもスタンドの能力を授けます」つ白金



岡部「これは貴方だからこそ使いこなせるスタンド。最強のスタンド、スタープラチナ。貴方には俺たちに協力してもらいます」



天王寺「そこまでしてくれんなら協力してやるがよ。これだけあってもどうすんだ?」



岡部「俺達の力を合わせてCERNを潰します。もちろん、貴方もその一員ですよ。ミスターブラウン」





天王寺「分かった。お前がその気なら俺だって乗ってやる。天王寺祐吾一世一代の大勝負。岡部、おめえに任せたぜ」



岡部「必ず、あなたのそして娘さんの幸せを保証します」



岡部「それでは、また」



萌郁「岡部くん」



岡部「指圧師、お前にもスタンドアイテムをやる。FBを、いやミスターブラウンを助けたいのだろう?」



萌郁「うん」



岡部「ならば、これを授ける」つシャボン液



岡部「お前のスタンドはソフト&ウェット。お前からすべてを奪ったCERNからすべてを奪ってやれ」



萌郁「……うん!」



岡部「さて、CERNを潰して俺たちは本当の平和を取り戻す。未来をディストピアにしないために」

ラボ



岡部「皆、いるな。今回ラボメンナンバー009としてミスターブラウンを迎えることになった。まぁ本人の意向でこの作戦が終わるまでだが、よろしく頼むぞ」



天王寺「俺ぁ、今回に関してはてめぇらに感謝しなきゃならねえ。特に岡部。てめえにはな。まぁその、何だ。これで本当に足を洗えたら、焼肉でも寿司でも連れてってやるからよ。頑張ろうぜ」



ダル「おおーー! 俄然やる気が起きたお」



岡部「うるさいぞ、ダル」



岡部「でだ、今回の作戦はCERNの完全壊滅。俺達の手で未来を変え、現在の平和を取り戻す。名づけてオペレーション:ジョースター!」



紅莉栖「ジョースター? 何よそれ」



岡部「今、考えついた。だが、これはただの閃ではない。我らを導く光だ」



岡部「俺たちには今11体のスタンドを所持している」



まゆり「十二体だよ〜オカリン」



岡部「何?」



まゆり「まゆしぃもね、昨日頑張ったら出たのです。ゴールド・エクスペリエンス〜」ニュッ



岡部「んん! ということで十二体所持している。この戦力を考えればCERNの壊滅など赤子の手をひねるように簡単だが油断はならん。徹底的に潰すぞ」





CERN本部



モブ「うああああああああああ!!」



萌郁「ソフト&ウェット。あなたから視力を奪う」ポン



天王寺「オラオラオラオラオラオラオラオラオラァ!!」ボコボコボコボコ



フェイリス「どうニャン? 息ができなくて苦しいニャン?」



るか「これは復讐です。貴方達は罪もない人を利用して殺した。シールをはがします。破壊を受け入れてください」ベリ



ダル「僕に勝とうなんて百年早いお。ていうか近づいたらスタンドぶっ込む!」



紅莉栖「パスパスパース!! ぶち込めェェェェェェェ!!」



岡部「苦しいか。いばらで締め上げられるのは。だが、俺達が受けた苦しみはこんなものではない!」



モブ「あ、悪魔だ。七人の悪魔だ……」トス



まゆり「あれ〜、まだいたの。ゴールドエクスペリエンス〜、ていっ」ボコッ



モブ「あがっ」



岡部「ふん、まぁこんなものだな。これほどまでうまくいくとは……」



フェイリス「な、何者ニャ! お爺ちゃんは誰にゃ!!」



岡部「ん、フェイリス?」



???「おうおうおう、この小僧共が儂の作った機関をめちゃくちゃにしおって」



岡部「あ、あなたは!?」



???「ん〜? お前は確かあん時の小僧。主犯はてめえか」ペシペシ



岡部「い、痛い! 杖で叩かないでください」



岡部「貴方はあの時、俺に声をかけてくれた人ですよね?」



???「おうそうじゃ」



岡部「あのお名前は?」



???「儂の名前はジョースター。ジョセフ・ジョースター」



ジョセフ「お前は昔の儂と同じじゃあ。だから気になってな」



岡部「そうですか。ジョースターさん。ってジョースター!? 素晴らしい奇跡だ」



岡部「だが、貴方がCERNを作ったことは自明。俺たちは貴方を倒さなければならない」



ジョセフ「別に構わん。儂は結局シーザーを救うことは出来んかった」



岡部「……救えなかった?」



ジョセフ「儂は今から半世紀以上前にシーザーという生涯の親友を無くした。それが年を重ねるごとに無念が積もっていったんじゃ。どうしてもシーザーを救いたい一心でCERNをつくりタイムマシンを作ろうとした」



ジョセフ「しかし、何人もの人が儂のために犠牲になった」



岡部「貴方は俺に似ていますね」



ジョセフ「ん?」



岡部「俺はタイムマシンを完成させた。だから俺はまゆりを救うことができた。その行動の全ての引き金はあなただ。ジョースターさん。今からでも遅くない。そのシーザーさんを救いましょう」



ジョセフ「なんじゃと!? それは本当か。シーザーを救えるのか。やらせてくれ、儂に」



岡部「いいでしょう。貴方の親友シーザーさんを必ず救いましょう」



ジョセフ「ああ、もちろんだ。待っていろシーザー。儂が必ずお前を助けてやる。シィィィーーーザァァァ−ーーー!!」



岡部「じゃあ、過去へ飛びましょう。貴方の全盛期へ」









続く